愛知・名古屋アジアパラ競技大会(読売新聞社協賛)が18日に開幕する。開会式の総合プロデューサーを務めるのは、右足に障害のある栗栖良依さん(49)。「障害の有無にかかわらず、生きやすい社会に」との思いを胸に本番を迎える。
開会式の準備、障害のある出演者も参加
名古屋市内の体育館で16日、開会式のパフォーマーらが動きを念入りに確認していた。足や視覚、聴覚に障害のある人らも出演を予定している。
栗栖さんはアートプロデューサーとして、障害者と健常者がともに芸術に取り組む活動などを進めてきた。2021年東京パラリンピックの開閉会式のステージアドバイザーなども務めた。
式典の理念は「WABI」、地元の土や草木で聖火台
今大会の式典の基本理念は「WABI―We Are Beautiful Individuals/違うまま、一緒に。」。「一人一人の違いや強さを掛け合わせ、新たな可能性を開く」との思いを込めたという。茶の湯の「侘び」にちなみ、民俗芸能や職人の技などに着想を得た。
聖火台や、選手を迎えるゲートは、愛知県にゆかりのある陶芸家やアーティスト、市民らが地元の土や草木などで作った。「市民らと一緒に開会式という『ハレ』の日を迎えたい」との狙いがある。
骨肉腫を乗り越え、パラ式典に携わるまで
パラリンピックの式典を手がけることになったきっかけの一つに病がある。元々は、1994年のリレハンメル冬季五輪の開会式をテレビで見て、五輪の式典の演出を志していた。しかし、32歳の時、右膝に痛みを覚え、骨のがん「骨肉腫」と診断された。治療に専念せざるを得なくなり、抗がん剤治療を経て手術で人工関節を入れた。
約1年後、知人の依頼で障害者が作る雑貨を販売する企画に携わった。障害者施設で歓迎を受け、「仲間に入れてくれた」と感じたという。その頃に開かれた2012年ロンドンパラリンピックの開会式での力強いパフォーマンスに心打たれ、国内でのパラリンピックの式典に向けた環境整備などに取り組んだ。
24日まで、45か国・地域から約4000人参加
今大会は24日までで、45か国・地域の選手ら約4000人が参加する予定。「みんなの知恵と想像力で作り上げてきたものをお届けできる。様々な環境や困難の中で競技を続けてきた選手たちを温かく迎えたい」と力を込めた。