高校野球で今年から指名打者(DH)制が導入されたことについて、中日ドラゴンズ打撃統括コーチの松中信彦さん(52)が、利点と懸念を語った。
松中さんは熊本・八代第一高(現秀岳館高)時代、左肘を痛め、左投げ左打ちながら右投げで試合に出ていた時期があった。自身の経験を踏まえ、「僕の時代にもDH制があったらと思うと複雑な気持ちです。でも、故障などで投げられない、守れないけど打てるんだという選手には、非常にありがたいんじゃないでしょうか」と歓迎する。
守備軽視への懸念
一方で、「DHがあることによって守備をおろそかにする選手が出てこないか心配しています」と指摘。「守れません、打つだけですという選手は、大学や社会人チームに進んだり、プロを目指したりしても、なかなか活躍するのは難しいと思います。高校生はうまく活用してほしいです」と述べた。
試合への入り方
ソフトバンクで2005年にDHでベストナインに選ばれた経験を持つ松中さんは、「DHだと試合に入りにくいというのはある」とし、プロ時代に心がけていたことを明かす。「味方の守備ではベンチの中でバットを持って立ち、自分も守っているという感覚で試合に入ることを心がけていました」と振り返る。
DHで出場する高校生には、「全員で戦っているので試合をしっかり見て、チームを励ます言葉をかけてほしい」とメッセージを送る。
今後の活用に期待
高校野球では、コンディションに不安があるが打撃で貢献できる選手、連投中だが打撃のいい投手、足が速い選手の起用など、さまざまなパターンが考えられる。松中さんは「これからどういう選手がDHとして試合に出るのか楽しみにしています」と期待を寄せた。
DH制は、投手の代わりに打撃専門の選手が打席に立つ制度。米大リーグのア・リーグが1973年に導入し、ナ・リーグでも2022年に正式採用された。日本球界では、1975年にパ・リーグが取り入れ、セ・リーグも来季から導入する。日本高校野球連盟は、投手の負担軽減や打撃を得意とする選手の出場機会の創出などを目的に、今年から採用している。



