同点で迎えた五回一死一、二塁の好機。倉敷商の利川翔哉選手は「みんなのためにここで打つ」と強い気持ちで打席に立った。OBで父の裕司さん(44)が見守る中、フェンス直撃の二塁打を放ち、二塁上で両手を振り上げて仲間を鼓舞した。
父の悔しさ
裕司さんは第82回岡山大会の決勝で、九回に空振り三振を喫し最後の打者になった経験を持つ。テレビで自分の三振映像を見るたび悔しさが募り、野球から距離を置いた時期もあったという。
二人三脚の日々
利川選手が小学3年で野球を始めると、裕司さんは家にネットを張り、仕事終わりに1時間室内練習場に連れていくなど支えた。利川選手は「お父さんと同じユニホームを着たい」と倉敷商を選んだ。
スランプと克服
今大会は11安打9打点の活躍を見せたが、5~6月はスランプに陥り、打てずに交代させられ「やめたい」と父にこぼしたことも。親子でミーティングし、「一喜一憂せずに明日からまた頑張ろう」と前を向いた。
夢のあと
甲子園は小学生から家族で見に行き「ここに立ちたい」と強く思ってきた夢の場所。しかし父と同じくあと一歩届かなかった。裕司さんは「よく頑張った。感動をくれただけで十分幸せです」と誇らしげに語った。



