兵庫県尼崎市の住宅街に、近所で有名な「ゴミ屋敷」があった。2階建て4LDKの一軒家は、庭にも生活用品があふれ、玄関の引き戸が内側から開くかどうかも怪しい状態だった。家主が施設に入居したことを機に、子どもたちが片付けに着手したところ、室内からは約16トンものゴミと、白骨化した猫の死骸が複数見つかった。
「3日間で片付くのか?」百戦錬磨のスタッフも焦った現場
このゴミ屋敷の清掃を依頼されたのは、大阪府に本社を置くゴミ屋敷清掃・不用品回収の専門業者「イーブイ」だ。同社の代表である二見文直氏は、現場に到着したスタッフの第一声をこう振り返る。「3日間で片付くのか?」。それほどまでに、室内はゴミで埋め尽くされていた。
ゴミは1階から2階まで、部屋の端から端までびっしりと詰まっていた。台所には使用済みの調理器具や腐った食品、居間には衣類や雑誌、段ボールが山積みになっていた。庭にも生活用品が溢れ出し、外から見ても異様な光景だったという。
白骨化した猫の死骸…「外との境界がなくなったような」室内
清掃作業が進むにつれ、室内からは複数の猫の死骸が白骨化した状態で見つかった。野良猫が出入りしていたとみられ、その痕跡は家中に残っていた。二見氏は「あちこちに『獣』の痕跡があり、外との境界がなくなったような感じだった」と当時の状況を語る。
親は長年、セルフネグレクト(自己放任)の状態にあり、ゴミを捨てることも、掃除をすることもできなくなっていた。子どもたちは以前から実家の状態を心配していたが、親が強く拒否したため、片付けに踏み切れずにいた。今回、親が施設に入居したことで、ようやく重い腰を上げたのだ。
「残すモノはほとんどない」という判断
子どもたちは清掃業者と相談し、「残すモノはほとんどない」と判断。思い出の品も含め、大半を処分する決断をした。二見氏によれば、子どもたちは無言で作業を見守ることが多かったという。「悲しさや寂しさはなかった。むしろ、やっと片付けられるという安堵感があったのではないか」と二見氏は推測する。
ゴミ屋敷が子どもに与える影響は大きく、長年にわたって精神的負担を強いられてきた。片付けが終わった後、子どもたちは「すっきりした」と語り、実家を売却する方向で検討しているという。
ゴミ屋敷清掃の先に見いだす希望
二見氏は、ゴミ屋敷の片付けは単なる清掃作業ではなく、家族の関係性を再構築するきっかけにもなると話す。「ゴミ屋敷に住む人々は孤独を抱えている。片付けを通じて、家族や地域とのつながりを取り戻す手助けをしたい」と語る。
イーブイはYouTubeチャンネル「イーブイ片付けチャンネル」で多くの事例を配信しており、ゴミ屋敷に暮らす人々の実態と、片付けの先にある希望を発信している。今回の事例も、近い将来動画で公開される予定だ。



