トヨタと日産、EV電池の国内生産で協業へ 供給網強化狙う
トヨタと日産、EV電池の国内生産で協業へ

トヨタ自動車と日産自動車が、電気自動車(EV)用電池の国内生産で協業する方向で調整に入ったことが、関係者の話で分かった。両社は政府が進める蓄電池戦略に沿い、部品の共通化や生産ラインの相互利用などを検討する。これにより、供給網の強化とコスト削減を目指す。

協業の背景と狙い

世界でEVシフトが加速する中、電池の安定調達は自動車メーカーの命綱となっている。特に中国市場では、地元メーカーが低価格EVを投入し、日本勢のシェアが低下。日本政府も、2030年までに国内の蓄電池生産能力を現在の約20倍の150ギガワット時に引き上げる目標を掲げ、官民連携を推進している。

トヨタと日産は、これまで電池調達で各社バラバラの戦略を取ってきた。トヨタはパナソニックとの合弁会社「プライムプラネットエナジー&ソリューションズ」を中心に、日産は中国の遠景動力科技(Envision AESC)と提携。だが、世界的な需要拡大に伴い、部品共通化によるスケールメリットの追求が急務となった。

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具体的な協業内容

両社はまず、電池セルやモジュールの規格統一を検討。生産設備の共同利用や、材料調達の一本化も視野に入れる。また、使用済み電池のリサイクル技術の共同開発も議論される見通しだ。これにより、生産コストを現行比で3割程度削減できる可能性があるとされる。

さらに、政府の補助金を活用し、国内の電池工場新設も視野に入れる。トヨタは静岡県、日産は福島県にそれぞれ工場候補地を検討しており、協業によって投資負担を軽減する狙いだ。両社の年間電池生産能力は、2028年までに合計で50ギガワット時を超える見通し。

業界内外の反応

この動きに、業界関係者は「かつてない連携」と驚きの声を上げる。自動車評論家の国沢光宏氏は「トヨタと日産が手を組むのは異例。それだけEV競争が激化している証拠だ」と指摘。一方、ホンダやマツダなど他社にも波及する可能性があり、業界再編の呼び水となるか注目される。

政府関係者は「日本の蓄電池産業の競争力強化につながる。EV市場で存在感を示す好機」と期待を寄せる。一方、米テスラや中国の比亜迪(BYD)は既に垂直統合型の生産体制を確立しており、日本勢の協業がどこまで効果を発揮するかは不透明だ。

今後の展望

両社は年内にも基本合意し、2025年から具体的な協業を開始する方針。ただし、競合関係にある両社の思惑の違いや、技術情報の共有範囲など、調整すべき課題も多い。特に、トヨタが強みとする全固体電池の技術をどこまで開示するかが焦点となる。

自動車業界は100年に一度の変革期を迎えている。トヨタと日産の協業が、日本メーカーのEV競争力向上につながるか。その成否は、今後の業界地図を大きく左右することになりそうだ。

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