残業時間は減少傾向にあるのに、体調不良を理由に退職する若者が増えている。職場で増えている負荷は、必ずしも「残業時間」という数字には表れない性質のものに変化しているようだ。
残業は減っても退職する若者は増加
同じ意識調査では、現職の残業状況のデータもある。月60時間以上の残業に該当する層は、2020年には7.1%だった。それが2025年には2.8%まで減っている。2026年上半期は3.4%だが、残業時間は減少傾向にあると見なして間違いないだろう。
なのに、体調不良を理由に退職する若者は増えている。
現場CAが感じる「見えづらい壊れ方」
実際に求職者と面談を行っている、当社のキャリアアドバイザー(CA)にヒアリングしたところ、直近1年ほど「体調不良を理由に職場を離れた」相談は、日常的に見聞きするレベルで増えているという回答が返ってきた。
「支援中の方の中にも、適応障害などの診断を受けている方が複数名います。本人は『まだ頑張れる』と思っているのに、身体が先に反応してしまう。出勤直前になると急に涙が止まらなくなり、初めて受診して適応障害とわかった——そういう方からのキャリア相談も増えています」(現場のキャリアアドバイザー)
ここで印象的だったのは、本人が深刻なメンタル不調を自覚する前に、身体症状が先に出るケースが多いということだ。風邪だと思って数日休んだが、倦怠感と微熱が長引き、再受診して初めて適応障害とわかった。そうした話も聞かれる。
負荷の配分が理不尽なまま続く職場
また、彼らが不調に陥る原因は「残業が多いから」という1つの要因では説明ができない。
「上司に相談していたのに、組織体制が変わらないまま業務負荷が増え続けた、という話は珍しくありません。同じ拠点のなかで、特定の若手に事務業務が偏るなど、負荷の配分が理不尽な状態のまま続いていた、という相談もあります。残業時間はそこまで多くなくても、勤務時間内の慢性的な業務過多は続いているのです」(同)
体調を崩して休む段階になってから、企業側の対応のマズさが負荷をさらに重くするケースもある。
「休職中なのに『直接会って話したい』と呼び出され、体調を崩した状態で長時間、厳しい指摘を受けた、という相談があります。本人も早く復帰したい焦りはあったのに、わかっていることに対して強く指導される場が続く。欠勤のたびに毎朝連絡はしているのに、繰り返し電話が入り、寝ている時間に出られないと『○時までに折り返しがなければ緊急連絡先へ連絡する』といった留守電が残される。休むこと自体に猛烈なプレッシャーを感じていた、という話です」(同)
本人が直接追及される場だけでなく、周囲が叱責される場面を「見続ける負担」も、見落とされがちだがひとつの体調不良の要因となる。



