東京大学医学部付属病院の関係者による汚職事件を受け、藤井輝夫総長が1月28日の記者会見で謝罪した。共同研究をめぐる贈収賄事件や、日本大学の過去の脱税・背任事件、アメリカンフットボール部の違法薬物問題は、大学運営への信頼を揺るがした。大学の自浄作用が試されている。
「東京大の事件は、今の時代にまさか、というのが率直な思い。関係者だけでなく、他大学にも衝撃を与えたはずだ」と話すのは、企業ガバナンスに詳しい青山学院大学名誉教授・東京都立大学特任教授の北川哲雄氏だ。同氏は長年、企業の統治改革を研究してきた立場から、大学にも透明性や実効性のある仕組みが必要だと説いている。
厳しさ増す大学経営
少子化や補助金の減少など、大学を取り巻く環境は厳しい。質の高い教育研究の維持、財務基盤の強化、不祥事の防止、社会的信頼の確保に向け、各大学はガバナンス強化を急いでいる。大学は教育機関であると同時に、研究費や補助金、寄付金、授業料を扱う社会的組織でもある。
問われるのは法令違反を防ぐ仕組みだけではない。研究費の管理、産学連携、学生対応、ハラスメント防止、財務情報の開示、理事会と教学組織の関係など、運営全体をどう点検し、社会に示すかが重要になる。
信頼を取り戻すために
「企業がそうだったように、大学も時間をかけて体制を整えてきた。それだけに東京大で徹底されていなかったことは残念でならない」と北川氏は語る。
大学ガバナンス・コードをどこまで徹底できるか。不祥事を防ぎ、社会の信頼を取り戻すための取り組みが一層求められている。



