欧州最大の家電見本市「IFA」がドイツ・ベルリンで開催された。出展2000社・団体のうち過半数が中国系となり、長年メイン会場の「顔」だったサムスン電子の電子的な撤退が目立つ。構造変化の実態を、IFAマネジメントのライフ・リントナー最高経営責任者(CEO)への単独インタビューで探った。
出展5割が中国系、IFAの現実
出展者数は2000社・団体を超え、その半分以上は中国系だ。中小企業やOEMメーカーが集まる企業向け展示会場「グローバル・マーケット」への中国企業の出展が多く、数はどうしても多くなる。
中国の大手メーカーではシャオミが今回新たに出展した。ほかにも海信集団(ハイアール)やTCL科技集団、創維集団(ミデア)、ドリーミーといった企業が大規模なブースを構え、展示面積で見ても中国系は4割近い。国際見本市としてダイバーシティも重要なため、今後は中国以外からの出展をもっと増やしていきたい。
サムスンとパナソニックの撤退、中国系の存在感
サムスンは新しい展示棟のシティーキューブに長年出展してきたが、本社の上層部の意向により、展示を縮小することになった。規模を小さくして出展することも考えたようだが、同社はこれまで6000平方メートル以上の展示ブースを構えていたため、出展面積を大幅に縮小すれば、メディアなどの評価が悪くなる。そのため、あえて別のところへ展示会場を移したのだと思う。
パナソニックも展示をやめてしまった。欧州市場での家電流通で凋落している中国の大手家電メーカー、創維集団(スカイワース)や、その傘下にあるドイツの家電大手Metz(メッツ)との共同出展を模索していたようだ。最終的には「Panasonic」ブランドを残し、テレビ事業部門のPanasonic TVの現地販売会社が出展することになった。
企業向けのブースにしたので商談用に周囲を壁で覆っているが、多くの一般消費者も集まるIFAの展示会場ではあまり得策とはいえないだろう。トルコの大手OEMメーカーであるVESTEL(ベステル)も当初は大規模な出展を予定していたが、本社が財政的な苦境に関わったことから、ブース費用は負いつつも、今回は出展を取りやめることになった。
50モデルのヒューマノイド、次世代テクノロジーの現場へ
ユニツリーや阿智創新科技(アジボット)など中国企業を中心に18社のロボットメーカーから50モデルのヒューマノイドが出展された。ホールでロボットのパフォーマンスを実施したところ、見学者が集まり過ぎて、会場を一時閉鎖しなければならないほどの人気だった。
ほかにも韓国のLG電子などは自分のブースにヒューマノイドを展示している。ヒューマノイドが家電製品といえるかどうか分からないが、新しいデジタル技術であることに間違いはない。IFAとしてもこうした分野にさらに注力して行きたい。
1日5万9000人が来場、モビリティ拡張
出展者数は2025年より100社ほど増え、9月5日土曜日の来場者数は5万9000人を超えた。2025年の土曜日は5万1000人だったので、明らかに来場者も増えている。メディアの報道件数も増えており、展示会として勢いを増している。
新しいモビリティコーナーも人気だ。独自自動車大手のフォルクスワーゲンもEVや車載用AI、デジタルインフォテインメントなどのショーケースを新たに設けるなどIFAに対する関心を強めている。われわれの見本市として今後もモビリティ分野には力を入れていきたい。



