人生を「最短ルートのRTA」と思い込む東大生たち 初の挫折がうつ病の致命傷に
人生をRTAと思い込む東大生 初の挫折がうつ病の致命傷に

東京大学の学生の中には、人生をゲームの「RTA(リアルタイムアタック)」のように捉え、一度のミスで全てが終わったと思い込んでしまう傾向があるという。一般財団法人ドラゴン桜財団代表理事で『東大うつ』の著者でもある西岡壱誠氏が、その危険性を指摘している。

「全勝記録」の落とし穴

西岡氏によれば、特に「浪人もせず、中学受験から東大入試まですべて勝ってきた」という全勝記録を持つ学生に、この傾向が強いという。彼らは一度も負けたことがないため、初めての敗北が致命的な意味を持ってしまう。「負けても次がある」という経験を人生のどこかで蓄積する機会がなかったのだ。

Nさんという学生は、人生で初めての「不合格」を経験した際、RTAの構造を頭の中で再生してしまった。「もうこのランは終わってしまった。最初からやり直すこともできない。だからゲーム自体が終わったのだ」と。実際には人生はRTAではなく、途中で立ち止まったり、ルートを外れたり、寄り道してもいい。しかし、ずっと年表通りに走ってきたNさんにとって、「年表からズレた自分」を受け入れることができなかった。

Pickt横長バナー — Telegram用の共同買い物リストアプリ

完璧主義の二つのタイプ

西岡氏は、完璧主義には二つのタイプがあると説明する。Mさんのように「次のレースが永遠に続く」ことに疲れるタイプと、Nさんのように「一度のミスでレースそのものが終わる」と思い込むタイプだ。どちらも完璧主義の系譜にあるが、苦しみ方の構造はまったく異なるという。

西岡氏は「これは決してNさん個人の弱さの話ではない」と強調する。「年表通りに勝ち続けることが正しい」という、子どもの頃から繰り返し刷り込まれてきたメッセージが、Nさんの内側に「人生はRTAである」という地図を作り上げてしまったのだ。

「年表」ではなく「地図」として人生を見直す

西岡氏は、子育てにおいて「お子さんが『全勝』で走り続けてしまっているとき、それは喜ばしいことであると同時に、どこかで一度小さな失敗を経験させてあげる機会を、意識して残してあげてほしい」と提言する。「負けたことのない子ほど、最初の負けで深く沈み込みます。『失敗しても、人生は続いていく』という体験こそが、お子さんを将来の『成功者ゆえの不幸』から守ってくれる、最も確かなお守りになるのだと、僕は感じています」と述べている。

Pickt記事後バナー — 家族イラスト付きの共同買い物リストアプリ