帰国子女の伊藤さん(仮名)は、中学時代「先生から面倒くさがられていた」と言う。彼は「ひろゆきみたいな子」と評され、野球名鑑の打率を読み込み、高校の偏差値をそらんじ、灘生や開成生のツイートを眺めて育ってきたデータマニアだった。
大手銀行での挫折
早稲田大学を卒業後、大手銀行に就職した伊藤さん。しかし、信じがたいほど細かい決まりごとに耐えられなかった。「ハンコの向きの違いなど、少しのミスも許さない文化に、我慢ができなかった」と振り返る。2年目の夏、適応障害を発症し、銀行を辞めた。「今思えば、あのとき違和感をそのままにせず、スパッと辞めて大正解でした」と話す。
SNSが人生を変えた
実は、伊藤さんは銀行に入行前の4カ月間、軽い気持ちでSNSアカウント「早大学歴研究会」を立ち上げていた。きっかけは、香川出身の親友が公立進学校botを運営していたこと。「お前もやってみれば?」という一言で始めた。
野球名鑑の数字、攻略本の数値表、灘生のタイムライン、2ちゃんの大学受験サロン板……データ分析好きな彼が幼少期から積み上げてきた経験が、ここでようやく「出口」を見つけた。「人生かけて集めてきた知識だから、思い入れが違う」と語る。
アカウントはバズり、銀行員時代も2日に1回のペースで投稿を続け、フォロワーは1万5000人に。退職後、失業保険とイベントバーの副店長で食いつなぎ、2022年1月に「じゅそうけん合同会社」を立ち上げた。受験総合研究所、略してじゅそうけん。アカウント名はそのまま屋号となり、現在の会社名「JSK」の由来となった。
レールから外れる怖さを克服
伊藤さんは「レールから外れるのが怖くなくなった」と語る。幼少期からデータに没頭する「ハマり癖」が裏目に出て銀行では適応障害になったが、その特性を活かして起業に成功した。現在は受験情報の発信やコンサルティングを行い、多くのフォロワーから支持を得ている。



