産官学連携で人材育成強化へ 静岡県内大学、学生減に危機感
産官学連携で人材育成強化へ 静岡県内大学、学生減に危機感

人口減少時代を踏まえ、静岡県内の高等教育機関が産官学の連携による人材育成機能の強化に乗り出す。大学を高校と企業の橋渡し役と位置づけ、関係機関の意向を反映した「ビジョン」を2027年度中に策定する計画だ。かつてない学生減に適応するための議論が本格化している。

初会合で危機感共有

7月31日に静岡市内で開かれた「地域構想推進会議」の初会合には、主要大学の学長や経済団体、自治体の幹部ら約30人が参加し、窮状や課題認識を共有した。

木村雅和・静岡理工科大学長は「よく『一人勝ちなのでしょう』と言われるが、理系も学生募集は非常に大変だ」と述べ、理工系大学の厳しい現状を訴えた。

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大学入学者の減少見通し

事務局が示した県の推計によると、県内大学への入学者は2040年に2025年比34.8%減の5144人に減る見通しで、減少数は2746人に上る。2025年の県内国立大入学者数(国内進学)2192人を上回る規模で学生がいなくなることになり、経営が成り立たなくなる高等教育機関が出る可能性がある。

地域社会が求める人材育成の方向性や具体策は今後の会議で詰める。事務局を務める県の外郭団体「ふじのくに地域・大学コンソーシアム」は、県内の大学、短大、高等専門学校、高校、企業にアンケート調査を実施し、実態を把握する。

産業界や教育現場の声

調査に先立つ意見交換では、さまざまな声が聞かれた。石渡浩二・三島商工会議所会頭は「産業界は将来を心配している。やる気と根性のある若者を何とか送り出してほしい」と地域経済を担う人材不足への強い危機感を示した。

前沢綾子・県教育長は「産学連携や高大接続で勉強する動機を自分の中から引っ張り出すようにしないと、その後の就職につながっていかない」と力説し、連携強化を呼びかけた。

大学の取り組みと学生の意見

渡辺裕司・浜松医科大学長は「医師が供給過剰になる時代が来るかもしれず、医療以外の分野でも学生が活躍できるよう力を入れている」と説明。イノベーションを起こすには、同大にはない「工学や情報学との連携が欠かせない」と述べ、静岡大学との統合再編の必要性を改めて強調した。

特別委員として参加した学生からは「高校で学んでいることが、受験とつながっていないと感じることが多かった」との経験談や、「若者の問題意識は高度経済成長期の頃と違う。倫理的に良いことをして利益を得られるような企業が理想だ」などの意見が出された。

地域の大学を中心に据えて人材育成機能の強化を図る議論は、全国でも活発化し始めている。コンソーシアム理事長の日詰一幸・静岡大学長は「静岡型人材循環エコシステムを前に進めることによって、持続可能な静岡を作り上げたい」と述べた。

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