清真学園、自由な校風とSSHで高い進学実績 柴山校長に聞く
清真学園、自由な校風とSSHで高い進学実績

清真学園高等学校・中学校(茨城県鹿嶋市)は、自由で活気あふれる校風の中で高い進学実績を実現している。スーパーサイエンスハイスクール(SSH)に指定されて20年目を迎え、「探究」「国際」「医学」「教職」のプログラムに磨きがかかる。柴山修二校長に、学校の取り組みと生徒が成長する秘訣について尋ねた。

「期」と「団」の強い絆

柴山校長は、茨城県の県立高に37年間勤務した後、2024年度から清真学園高中の副校長を務め、25年度に校長に就任。県立高時代には県高校教育研究会で進路指導部の副部長・部長として県内の高校を支援してきた。

本校に赴任してすぐ、自由な校風の中で、生徒が大変生き生きと活動しているという印象を受けたという。また、生徒同士、生徒と教職員との絆が大変強く、互いを信頼し合っていると感じた。これは、本校独自の教育環境によるものと考えている。

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特進クラスなどは設けず、生徒たちはとても強い仲間意識を持っている。「探究プログラム」では教科を横断した「ゼミ」を設け、生徒たちがクラスの枠を超え互いに自ら課題を見つけて調査や発表に臨んでいることも、同一学年の「期」を強めることにつながっている。

体育祭では、学年を超えた六つの「団」を結成している点も大きな特徴。中1から高3まで、同じ「団」に所属する生徒たちが、互いに競い合って体育祭に取り組んでいる。部活動も盛ん。このように横のつながりと縦のつながりが交わり合い、「期」と「団」の強い絆の中、生徒たちは活気にあふれる学校生活を送っている。卒業後も、「何期生の何団です」と言うと、すぐに打ち解けられるほど。また、1学年5クラス(中学は4クラス)で私立学校としてはそれほど規模が大きくないことと、多くの生徒が中学から6年間在籍し、多感な時期を教職員と共に過ごすことで、生徒と教職員の絆も深くなっている。

SSH20年目の探究プログラム

本校は2007年度に科学技術人材を育成するSSHに指定され、現在4期20年目を迎えている。柱となっている探究プログラムの特徴は、生徒が「現代文化批評ゼミ」「ロボット・ロケットゼミ」といった文系・理系にこだわらず設置した「ゼミ」に所属し、主体的な学びを実践している点。大学入試において研究を活用している生徒もいる。

例えば、「家庭科ゼミ」に所属していた生徒は、腸内細菌の研究を始め、沖縄科学技術大学院大学に赴いて英語で研究発表を行い、その成果をもとに学校推薦型選抜で東京大学理科2類に入学を果たした。

外部でもさまざまな大会に挑戦している。昨年度は「新定理発見ゼミ」が「第16回高校生の科学研究発表会@茨城大学」でポスター発表賞を受賞。「英語ディベートゼミ」も「第8回茨城県パーラメンタリーディベート大会」に優勝して全国大会に進出するという成果を挙げている。

SSHの準備段階として、中3生は地域社会の課題を解決する「グローカル探究」に取り組む。地域のさまざまな専門家を招いて課題を発見し、地元の方々の協力を得ながらアイデアを実現させる。このグローカル探究での研究を継続した高校生有志が、24年度から地元・霞ヶ浦の生態系の問題を解決する「ナマズプロジェクト」に取り組んでいる。同プロジェクトは、霞ヶ浦で増殖し生態系を脅かしているアメリカナマズを食に活用しようとするもので、地元の漁業協同組合や食品会社の協力により、近隣のメルカリスタジアムでアメリカナマズのガパオライスを販売したこともある。

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国際・医学・教職プログラム

「国際プログラム」の一環として、タイのチュラボーン王女立科学高校ピサヌローク校と2016年から提携を結び、双方の高校生が毎年1週間程度の交換留学を行い、科学研究を英語で発表する活動を行っている。昨年、一昨年と柴山校長も同行したが、タイでの研究発表は、タイの高校や日本のSSHが多数参加する大きな大会で、英語を母国語のように活用して発表を行うタイの生徒との交流から、本校生は大きな刺激を受けていた。

英語で考え、英語で発表する力を養うために、中学からスピーチやディスカッションを行い、高校では学校設定科目として「科学英語」を必修とし、ゼミで探究した内容について英語で発表ができるようにしている。これらの取り組みが功を奏し、数年前から複数名、英検1級に合格するようになった。

また、本校は地域社会に貢献することを使命の一つと考えており、医師が不足している地域医療を支える人材を送り出すため、「医学プログラム」を推進している。探究プログラムにも医療系のゼミを設け、現代医療の課題解決に向けたディベートや研究発表を行っている。本校には筑波大学などで医学を学び医師となった卒業生が数多くおり、現役の医学生や医師を招いての医学セミナー等を校内で実施している。

国際医療福祉大学成田キャンパスで模擬授業を受けるなど、研修の機会も充実。また、高1・高2の医療系希望者による「学習合宿」を年に1回開催し、現役の医学部生から入試や大学での授業についての話を聞きつつ、志望理由書の書き方や面接での対策など具体的なアドバイスをもらっている。

同様に、地域の教育に貢献するため、「教育ゼミ」を設置するなど、教員を育てる「教職プログラム」も充実させている。

進路実績と育成する生徒像

昨年度は東京大学、東北大学など国公立大学に59人が合格。うち53人が現役生で、学校推薦による合格者8人が含まれている。昨年度の卒業生は181人で、約3割の生徒が現役で国公立大学に進んでいる。医学部医学科の合格者数も延べ21人、進学者数が11人と高い成果を挙げている。

しかし、皆が入学時から一心に勉強に励んでいるというわけではなく、どちらかというとのんびりとした校風で、学ぶことそのものの面白さに気付き、上級生や卒業生の活躍を目の当たりにしながら、自分の進むべき道について高い目標を定めていく。その積み重ねが、この進路実績に結び付いているという。

柴山校長は、VUCA(変動性、不確実性、複雑性、曖昧性)の時代とされる中で、自分の力で道を切り拓き、未来を創ることができる生徒になってほしいと考えている。校外で発表を行い、自分たちでプロジェクトを立ち上げる生徒たちを見ていると、そういう力が確実に育っていると感じる。

本校の様々な活動の中で自分の夢を見つけ、先輩たちの姿を見ながら、それを実現させる術を身に付ける。そうして、地元・茨城の発展を支えつつ、グローバルに活躍する人材となることを期待している。