保護者対応を負担に感じる教員が増える中、大阪市教育委員会は、話を聞く際のポイントや不当な言動への対応策をまとめた冊子を作成し、市立小中学校に配布した。ホームページでも公開しており、保護者らに内容を理解してもらうことで、互いにより良い関係を築くことを目的としている。
教員の負担増と現状
経済協力開発機構(OECD)の「国際教員指導環境調査」(2024年版)によると、ストレスの原因として「保護者の懸念への対処」を挙げた国内の教員は、小学校で58.7%、中学校で56.4%に上り、それぞれ前回(2018年)調査から10ポイント以上増えている。市教委などによると、電話や対面での対応を求められ、中には「教師を辞めろ」「頭が悪いのか」などの攻撃的な言葉を長時間受け続けるケースもあり、うまく対処できないことを気に病んで退職する教員もいるという。
冊子の基本姿勢と失敗例
市は昨年、市職員に対するカスタマーハラスメントへの対応マニュアルを作成。悪質な場合、30分で打ち切れることなどを盛り込んだ。教職員も適用範囲に含まれているが、「学校は卒業までの数年間をともに過ごす必要があることなどから、受け入れざるを得ない面もあった」(市教委幹部)とする。冊子では基本姿勢として、〈1〉相手を尊重して話を聞き、保護者らの不安や不満を受け止める〈2〉すみやかに連絡し、すぐに対応することで信頼関係を築く〈3〉1人で決断せず、周囲の教職員に相談する――を掲げる。また「よくある失敗例」として、▽「よくあることです」などと軽く扱う▽その場で即答・約束してしまう▽了解を得ないままほかの教員と情報を共有する――なども明示した。
悪質なケースへの対応
一方で、暴行、脅迫、SNSでの中傷など、過剰な要求や法に触れるような行為が認められた場合には、担当教員を守るため、学校として毅然とした対応をとる、警察などに通報する、などの対応策をまとめた。保護者対応に一定の指針が示されたことについて、ある市立中学校の校長は「自分たちのこれまでの対応が適切だったのかを振り返るきっかけになった。保護者にも目を通してもらうことで、学校運営に理解を深めてもらえるのでは」と期待する。
他地域での動きと市長のコメント
同様のマニュアル制定は、京都府や徳島県、広島市など他地域でも進んでいる。横山英幸・大阪市長は6月末の定例記者会見で「子どもの健全な育成には、教員の心身が健康であることが重要。互いの立場を尊重しながら、信頼関係を築くことが大切だ」と述べた。冊子「学校園と保護者等とのよりよい関係づくりのために」は、市ホームページで閲覧・ダウンロードできる。



