成田高校、英ケンブリッジ研修を導入 使える英語と異文化体験
成田高校、英ケンブリッジ研修を導入

成田高等学校付属中学校・成田高等学校(千葉県成田市)は2026年3月、中学3年生から高校2年生の希望者を対象とする11日間の「イギリス・ケンブリッジ研修」を新たに導入した。従来の「アメリカ語学研修」に代わるもので、生徒1、2人で現地にホームステイしながら語学学校に通う。スペインやトルコなどさまざまな国からの参加者とディベートを交わし、アクティビティーを楽しんだ生徒たちは、海外への夢を膨らませているという。

使える英語を習得するための三つの特別プログラム

「本校は成田空港が近いこともあって、生徒の保護者や卒業生に、成田空港で働いている方がたくさんいます。そのため、世界で働くことを意識している生徒も多く、本校としても英語教育に独自の取り組みを行っています」と、入試広報部長の宮永厚教諭は話す。

実践的な「使える」英語を意識しているのが同校の取り組みの特徴だ。中1から高2まで週1回、外国人講師による英会話の授業があるほかに、校内プログラムとして、夏休みには中1から高1の希望者を対象とする、外国人講師による3日間の英語漬け研修「サマーイングリッシュプログラム」を実施している。

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海外プログラムとしては約20年前から、中3から高2の希望者を対象とする7月の「カナダ語学研修」を行い、約10年前からは3月に上級者向けの短期留学プログラムとして「アメリカ語学研修」を実施してきた。このプログラムを引き継いで今年、導入されたのが、「イギリス・ケンブリッジ研修」だ。

今春、「イギリス・ケンブリッジ研修」を引率してきた英語科の廣野翔平教諭は、「授業で知識はあっても、実際に使うのは難しい。知識だけではなく使える英語を習得するのが、これらのプログラムの目的です。サマーイングリッシュプログラムで英会話力を付けて、ビギナー向けのカナダ語学研修に参加してもらう。さらに、それを経験した生徒や上級者向けにイギリス・ケンブリッジ研修を新たに設定しました」と説明する。

ちなみに、研修先を変更したのは、アメリカ語学研修で現地手配をしていた会社が、1家庭に生徒2人までというホームステイの条件を維持できなくなったからだという。同等のホームステイが可能なプランを検討した結果、「イギリス・ケンブリッジ研修」となった。

「ホームステイを重視しているのは、英語を学ぶだけではなく、文化の違いを体験してもらうためです。現地では自分から英語で伝えないと何もやってもらえません。親元を離れ、身の回りのことをしてもらうのが当たり前ではない環境で、自立を促す手段の一つにもなっています」と廣野教諭は説明する。

英語での高度なディベートでも自分の意見が言えるように

「イギリス・ケンブリッジ研修」は3月21日から3月31日までの11日間で実施され、中3生3人、高1生19人、高2生2人の計24人が参加した。生徒たちはシンガポールのチャンギ国際空港を経由して22日、ロンドン・ヒースロー空港に到着。バスでケンブリッジに入ってホストファミリーと面会した。

翌23日からは早速、現地の語学学校「Studio Cambridge」で学習スタート。1クラスは、同校の生徒5人ほどを含めて約15人。残りは各国からの留学生が占める。午前中は、英語を母語としない人のための英語クラスである「ESL」で学び、午後は語学学校の先生の引率でアクティビティーを楽しんだ。

参加した早川葵さん(現高2)は、「もともと海外に興味があり、中3でカナダ語学研修に応募したのですが、抽選で外れてしまったので、高1でケンブリッジ研修に参加できてよかったです」と笑顔を見せる。

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事前のテストで「ESL」の一番上級のクラスになったため、「ほかの留学生も英語が上手な人ばかりで、とにかく授業が大変でした」と言う。授業では、トルコ、中東、韓国などからの留学生と一緒にディベートする機会が多かったそうだ。内容は、それぞれの国の発酵食品について紹介し合ったり、弾劾裁判についてどう考えるか話し合ったりする高度なものだったという。「最初は3割くらいしか聞き取れませんでしたが、だんだん慣れて7割くらい聞き取れるようになり、話についていけるようになりました」

アクティビティーでは、フィッツウィリアム博物館やイーリー大聖堂を訪れたほか、カヌーも体験した。

研修を振り返って早川さんは、「イギリスは伝統を重んじる国だと実感しました」と言う。「日本は伝統を大事にしつつも新たな文化を加えるなど柔軟ですが、イギリスは伝統をしっかり守ってあまり変化を好みません。ホームステイ先でも自分から話しに行かないと答えてくれません。パーソナルスペースがはっきりしている点でも、文化の違いを感じました」

鈴木美桜さん(現高2)は、「将来英語を使う職業に就きたいと思い、ケンブリッジ研修に応募しました」と話す。語学学校では上から2番目のクラスになり、ハンガリーやロシアなどの留学生とディベートしたそうだ。

「現地の先生から『日本人はちゃんと意見を言わないから』と言われたのが悔しくて、文法が間違ってもいいから話そうと思いました。文法が多少違ってもちゃんと通じて意思の疎通が図れたことがとてもうれしかったです」

クラスでは、スペイン人留学生と特に仲良くなったそうで、「スペイン人は月に1回は闘牛を見に行くと聞いたりして、盛り上がりました。行く前は10日くらいではあまり英語が上達しないのではないかと思っていましたが、話しかければみんなフレンドリーに話してくれます。自分次第だと思いました」と話した。

29日は電車でロンドンへ移動し、同校の生徒たちだけで、大英博物館やバッキンガム宮殿、ロンドン塔などを見学し、市内の観光を満喫。翌30日、空路で帰国の途に就いた。

世界を意識した取り組みにより海外で活躍する人材が育つ

研修中の生徒たちの様子について廣野教諭は、「授業はカナダ研修より時間が長く、内容も高度なのですが、生徒たちは私の想定よりも早く授業に慣れて、笑顔が見られるようになりました。また、昼休みも学校の友達で固まるのではなく、あえて外国人留学生に声をかけて一緒にお昼を食べる様子が見られ、自信を持って話しかけられるようになっていました。期待以上です」と、生徒の成長に目を細める。

研修に参加した生徒たちは帰国後も、英語の授業で、話したり書いたりという能動的な活動に、よりいきいきと取り組むようになったそうだ。「帰国後のアンケートでもポジティブな評価が多く、来年以降もケンブリッジ研修を継続していく予定です」

ケンブリッジ研修を終えて、早川さんは、「もっとリスニング力を付けて積極的に英語を話すことを心がけ、将来は英語を話せて外国人の患者さんも診られる医師になりたい」と話す。鈴木さんも「大学生になったら、また留学やワーキングホリデーにも挑戦してみたいです」と夢を膨らませている。

「在学中から世界を意識させることで、大学進学後に留学する卒業生や、海外で働く卒業生が増えてきました。農学部在学中にアフリカへ留学した卒業生や、大学を休学してマレーシアで起業した卒業生もいます。カタールで働く卒業生がオンラインで生徒たちに講演してくれたこともありました。これからも世界で活躍する人材を輩出できる教育を目指していきます」と宮永教諭は抱負を語った。