東大生の学力の高さの背景には、特別な勉強法でなく、親の子育てや家庭環境も成績に大きな影響を与えていると考えられます。『怒りすぎたあとからでも始められる子どもの地頭が育つ後悔しない子育て』を上梓した西岡壱誠さんに話を伺います。
「主体性を持たせる」って?
「子どもには主体性を持ってほしい」。親御さんとお話ししていると、本当によく耳にする言葉です。自分で考え、自分で決めて、自分で動ける子になってほしい。誰だってそう願うものですよね。
でも、ちょっと立ち止まって考えてみてください。「主体性を持たせる」って、具体的にどうすればいいんでしょうか。
「自分で考えなさい」と言えば、主体性は育つのでしょうか。「あなたが決めなさい」と選択肢を渡せば、子どもは自分で動くようになるのでしょうか。
正直に言うと、僕はそれだけでは足りないと思っています。というより、実際にたくさんの東大生やその親御さんに取材してきた中で、「主体性を持たせる」というのは、もっと地味で、もっと具体的な工夫の積み重ねなんだなと気づかされたのです。
たった一枚の紙が生み出す「重み」
今日はその中でも、僕が「これはすごい」と唸ってしまった、ある東大生の親御さんの話をご紹介させてください。
その家庭では、習い事をやめる際に、子どもに「申請書」を書かせていたといいます。ただ「やめたい」と言うのではなく、書面として提出させることで、子ども自身が決断の重みを実感できるようにしていたのです。
「言葉で伝える」と「手を動かさせる」の違い
「言葉で伝える」だけでは、子どもは受け身になりがちです。しかし、「手を動かさせる」ことで、自ら考え、選択するプロセスが生まれます。この親御さんの工夫は、まさにその点に着目したものでした。
申請書を書くという行為は、単なる手続きではなく、自分の意思を文章化し、責任を持って決断する練習にもなっています。このような小さな積み重ねが、子どもの主体性を育むのだと感じさせられました。
「工夫」の積み重ねが子どもを変える
「主体性を持たせる」というのは、特別な教育法ではなく、日々の小さな工夫の積み重ねです。東大生の家庭では、こうした地道な取り組みが自然に行われているのかもしれません。
子どもの成長を願うなら、大きなことを一度にやろうとするよりも、まずは身近な場面で「自分で決める」経験を積ませることが大切だと、この事例は示しています。



