文部科学省は、2026年度から小学生の読解力向上を目指し、人工知能(AI)を活用した授業改善の実証事業を開始する。全国の小学校から約100校を選定し、AI教材を用いた個別最適化学習の効果を検証する。これは、国際学力調査で日本の小学生の読解力が低下傾向にあることを受けた措置だ。
読解力低下の現状と背景
経済協力開発機構(OECD)が実施する国際学習到達度調査(PISA)の2022年調査では、日本の15歳の読解力は平均点を下回り、前回2018年調査から有意に低下した。また、国際数学・理科教育動向調査(TIMSS)でも、小学4年生の読解力を問う問題で正答率が低下している。文部科学省は、デジタル機器の利用増加や読書習慣の減少が一因と分析している。
AI教材の活用方法
実証事業では、AI教材「すらら」や「Qubena」など、既存の学習プラットフォームを活用する。AIが児童一人ひとりの理解度やつまずきを分析し、最適な問題や解説を提示する。例えば、文章の要約問題で間違えた児童には、段落ごとの要点を整理する練習問題が自動で出題される。教員はAIが収集した学習データを基に、個別指導やグループ学習の計画を立てる。
文部科学省の担当者は「AIにより教員の負担を軽減しつつ、一人ひとりに合わせたきめ細かい指導が可能になる。特に読解力の基礎となる語彙力や文法力の強化に効果が期待できる」と話す。
実証事業のスケジュール
2026年度は準備期間とし、参加校の募集や教員向け研修を実施。2027年度から本格的に授業でAI教材を導入し、2029年度までに効果を検証する。検証結果は2029年度中に公表され、全国の小学校への普及が検討される。
教育現場の反応
東京都内の公立小学校教諭は「AI教材を導入すれば、児童の学習進度に応じた指導がしやすくなる。ただし、教員がAIに頼りすぎず、児童と直接対話する時間を確保することが重要だ」と指摘する。一方、保護者からは「画面を見る時間が増えることが心配」との声も上がっている。
文部科学省は、実証事業と並行して、読書習慣を促進するための学校図書館の充実や、家庭での読書推進キャンペーンも実施する方針だ。



