ロサンゼルス・ドジャースの大谷翔平選手と妻の真美子さんに第2子が誕生したニュースが報じられた。喜ばしい出来事である一方、SNS上では「第1子から間がなさすぎる」「年子は健康に悪い」「多産DVでは」といった批判的なコメントが相次いだ。小児科専門医の森戸やすみ氏は、こうした育児への理解不足が少子化をさらに深刻化させると警鐘を鳴らす。
「年子はよくない」は本当か?医学的見地から検証
世界保健機関(WHO)は、出産後次の妊娠を試みるまでに少なくとも24カ月(2年)の間隔を推奨しており、出産間隔としては33カ月以上が望ましいとされる。米国産婦人科学会(ACOG)と母体胎児医学会(SMFM)は、出産から次の妊娠開始までの期間が6カ月未満にならないようガイドラインを提示。特に帝王切開歴がある女性は、自然分娩を希望する場合、18~24カ月未満の短い妊娠間隔は避けるべきとしている。
一方、子どもの側の研究では、妊娠間隔が18カ月未満または59カ月以上だと、早産や低出生体重児などの周産期リスクが上昇するというメタ解析結果がある。しかし、森戸氏は「必ずしも年子が悪いわけではない」と強調する。
先進国では年子のリスクは低い
森戸氏によると、これらの統計は発展途上国を含むデータに基づいており、医療体制が整った先進国ではリスクは大幅に低下する。日本では適切な産前産後ケアが受けられるため、年子であっても母子の健康リスクは低いと指摘する。
「大谷選手夫妻は十分な医療サポートを受けられる環境にある。批判は的外れだ」と森戸氏は述べる。また、著名人に対する過剰な育児批判が、子育て世代全体にプレッシャーを与え、少子化を加速させかねないと警告する。
授乳への批判も:カフェでの授乳に非難の声
森戸氏は過去にも、カフェで授乳する母親への批判がSNSで起きた事例を挙げる。「授乳しないと赤ちゃんが低血糖や脱水になる可能性がある。母親には公共の場で授乳する自由がある」と述べ、社会の理解不足を嘆く。
「赤ちゃんにも母親にも自由があるべきだ。余計な一言が親を追い詰め、子育てしにくい社会を作っている」と森戸氏は語る。
少子化対策には社会全体の意識改革が必要
日本では少子化が深刻な問題となっている。2023年の合計特殊出生率は1.20と過去最低を記録。森戸氏は「子育てに対する無理解や批判が、『子どもをもう一人欲しい』という意欲を削いでいる」と指摘する。
「年子だからといって批判するのではなく、それぞれの家庭の事情を尊重する寛容さが必要だ。それが結果的に少子化対策につながる」と森戸氏は結論づける。



