ショパン国際コンクール出場の天才が小児科医に…二刀流の原体験は空港のピアノ
ショパンコンクール出場の天才が小児科医に

愛知県知多半島の総合病院に勤務する小児科医、沢田蒼梧さん(29歳)は、医学部在籍中の2021年に世界的な登竜門であるショパン国際ピアノコンクールに出場し、二次予選まで進出した異色の経歴を持つ。現在もプロピアニストとして活動しながら、現役の小児科医として患者を診る「二刀流」の生活を続けている。

空港のグランドピアノが変えた人生

沢田さんがピアノと向き合う姿勢を決定的に変えたのは、高校1年生の2014年、ドイツのエトリンゲンで開かれた国際ピアノコンクールからの帰路だった。フランクフルト国際空港の出発ロビーに置かれた「PLAY FREE」と書かれたグランドピアノを見て、衝動的に弾いてみたという。

コンクールでは審査員から「曲の選び方が間違っている」「君のような子供が弾く曲ではない」と厳しい評価を受け、落ち込んでいた。そんな中、空港でドビュッシーの「花火」を弾き始めると、雑踏の中から次第に人々が立ち止まり、演奏が終わると歓声と拍手が沸き起こり、「Bravo! Play more!」の声が飛んだ。

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「人前でピアノを弾く楽しさを初めて心から感じた瞬間でした。聴いている人たちとのコミュニケーションが、今の本番でピアノを弾く楽しさの原体験です」と沢田さんは振り返る。

超進学校で6年間首席の天才

沢田さんは幼少期から英才教育を受け、超進学校で6年間首席を維持。ピアノは「趣味」と公言しながらも、ショパン国際コンクール出場という偉業を達成した。しかし、医師の道を選んだのは、音楽だけでは得られない「人との関わり」を求めたからだという。

「ピアノは自分と向き合う孤独な作業。医師として患者と接することで、別の視点から音楽に向き合えるようになりました」と語る。

ゼロから積み直したピアノ

コンクール後、沢田さんは一度ピアノから離れることを考えたが、空港の体験が忘れられず、練習を再開。医学部の厳しいカリキュラムと並行しながら、基礎から技術を積み直した。「正解を追求するのではなく、感情を動かす演奏を目指すようになった」と変化を語る。

現在は「弾きたくない日は弾かない」という独自のルールで、ピアノと医師業のバランスを保っている。異なる二つの軸を持つことで、自由な発想と柔軟な対応力を身につけた。

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