ワインについてもっと知りたいけれど、覚えることが多そうでどこから始めればいいかわからない——そんな声をよく耳にします。しかし、入口はシンプルです。まず覚えるべきはぶどう品種。しかも、赤ワインによく使われるぶどう2つと、白ワインによく使われるぶどう2つだけ覚えておけば十分です。本記事では、具体的にどの品種なのか、どんな特徴があるのかを解説します。
知っておきたいぶどう品種は赤2品種・白2品種
ワインが他の多くのお酒と違うのは、水を加えずにぶどう果汁を発酵させて造られること。そのため、原材料となるぶどうの特徴がワインの個性に大きく反映されます。このぶどうの特徴を知るうえで、まず押さえたいのが「品種」です。食用ぶどうでも、巨峰とマスカットでは皮の色も味もまったく違いますよね。同じように、ワインも品種によって香りや味わいがまったく異なります。まずは品種の違いを知ることが、ワインを知るスタートになるのです。
とはいえ、ぶどう品種は世界中に無数に存在します。特定の国や地域で栽培されているものも含めると、世界には数千の品種があるとされます。しかし、それらの香りや味をすべて知る必要はありません。実際には、赤ワイン2種類、白ワイン2種類の合計4種類の品種を覚えておくだけで十分です。なぜなら、この4品種を知ることで、ワインの全体像をとらえられるようになるからです。
どっしりした飲みごたえのある赤ワインなら「カベルネ・ソーヴィニヨン」
赤ワインから紹介しましょう。まずは「カベルネ・ソーヴィニヨン」です。赤ワインを飲むとき、色に注目してください。赤といっても、淡い赤色から、濃くて黒や紫がかった赤色まで、いろいろな色があることに気づくでしょう。この「濃い赤色」のワインになるぶどう品種の代表格がカベルネ・ソーヴィニヨンです。世界中で栽培されており、代表的な産地はフランス、アメリカ、チリなど。もちろん国や地域によって細かい違いはありますが、同じカベルネ・ソーヴィニヨンであれば、総じて色は濃く、しっかりしたタンニン(渋味)があり、力強い赤ワインになりやすいといえます。パワフルで飲みごたえのある赤ワインを飲みたいときは、まずカベルネ・ソーヴィニヨンを候補にするとよいでしょう。
華やかな香りと控えめな渋味の「ピノ・ノワール」
2種類目の赤ワイン用ぶどう品種は「ピノ・ノワール」です。カベルネ・ソーヴィニヨンとは正反対に、色調は明るく、比較的淡い赤色をしています。タンニンは控えめで、酸が比較的高く、イチゴやチェリーのような華やかな香りが特徴です。カベルネ・ソーヴィニヨンと同じく大人気のぶどう品種で、世界中で栽培されています。代表的な産地にはフランス、アメリカ、ニュージーランド、ドイツなどがあります。赤ワインをざっくり理解するなら、カベルネ・ソーヴィニヨンのような「濃くてしっかりしたタイプ」と、ピノ・ノワールのような「華やかで酸味の強いタイプ」の二つの方向性に分けて考えるとわかりやすいでしょう。ワインショップやスーパーで、ラベルに「Cabernet Sauvignon」「Pinot Noir」と書かれたワインを探してみてください。最初は同じくらいの価格帯で飲み比べると、二つの違いがよくわかります。
世界中で造られる白ワインの代表品種「シャルドネ」
続いて白ワインです。白ワイン用のぶどう品種でまず知っておきたいのが「シャルドネ」です。安いワインから高級ワインまで、幅広い価格帯のワインがシャルドネから造られています。代表的な産地はフランス、アメリカ、オーストラリアなど。主要なワイン生産国の多くで栽培されている品種です。シャルドネの特徴は、栽培地や製法で味わいや香りにかなり幅があること。レモンやグレープフルーツのような柑橘系の香りがするすっきり爽やか系から、マンゴーやパイナップルのような濃厚な香りのあるコクあり系まで、さまざまなタイプのシャルドネワインが存在します。また、シャルドネは木樽を使って熟成させる製法と相性が良く、そういったワインからは樽由来のバニラやトーストのような香りが感じられることがあります。さまざまなタイプがあるとはいっても、シャルドネは総じてバランスがよく、あまり主張の強い香りや味わいにはなりにくいです。その意味では、安心して選べる白ワインと言えます。
清涼感のあるすっきり爽やか白ワインなら「ソーヴィニヨン・ブラン」
白ワインをあえて大きく二つに分けて説明するとしたら、「あまり個性的な香りのしないワイン」と「個性的な香りが強く感じられるワイン」になるでしょう。前者は「ニュートラル品種」、後者は「アロマティック品種」と呼ばれます。ニュートラル品種の代表格は先ほど紹介したシャルドネです。一方、アロマティック品種でまず押さえておきたいのが「ソーヴィニヨン・ブラン」です。代表的な産地にはフランスやニュージーランドなどがあります。特徴は、パッションフルーツのような甘く華やかな香りと、ハーブや青草を思わせる清涼感のある香り。味わいは軽やかでフルーティー、爽やかなタイプが多め。白ワインにすっきり感を求める人は、まず試してみてほしい品種です。
まずは4品種から好みのワインを見つけよう
ワインの香りや味わいの大部分はぶどう品種で決まります。そのため、ワインを知りたいと思ったらぶどう品種を知るのが一番の近道です。今回紹介したのは、無数にあるぶどう品種の中でも特に高い人気を誇るものばかり。それぞれはっきりとした違いがあるため、ワインの大枠をつかむのにもぴったりです。まずはこの4品種を飲んでみて、自分の好みのワインを見つけてみてください。
本記事はワインエキスパートの山田井ユウキ氏(フリーライター、ワインストーリーテラー)が執筆。著書に『ワインの半分は物語でできている。』など。資格:ワインエキスパート、WSET Level3、ドイツワインケナー、第8回J.S.A.ブラインドテイスティングコンテスト・ファイナリスト。



