定年後「家庭に居場所がない」男性の末路 医師が語る50代からの対策
定年後「家庭に居場所がない」男性の末路 医師が語る対策

定年退職を迎えた男性の中には、気づけば家庭に居場所がなくなり、孤独で惨めな老後を送るケースが少なくない。医師で心理カウンセラーの野上徳子氏は、こうした事態を避けるためには50代からの準備が不可欠だと警鐘を鳴らす。

孤独が体に及ぼす影響

野上氏によれば、朝起きる目的があるか、人と会話しているか、外に出て歩いているか、自分が誰かの役に立っていると感じられるか――こうした要素は睡眠、食欲、自律神経、血圧、血糖、痛みの感じ方などに直接影響するという。「異常なしだから大丈夫」と片づけるのではなく、生活全体を見直す必要がある。孤独は心だけでなく体にも表れるのだ。

50代から始めるべきこと

定年後に「終わる人」ではなく「輝く人」になるために、野上氏は50代から仕事以外の小さな役割を育てておくことを提案する。大きな夢や立派な目標は必要ない。地域の活動に参加する、趣味の教室に通う、昔の友人と定期的に会う、料理を覚える、ボランティアをする、若い世代に自分の経験を伝える――大切なのは、会社の肩書きを使わずに人とつながれる場所を持つことだ。

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日本の高齢者を対象にした研究でも、退職後に趣味や地域活動などの社会参加がある人は、抑うつ症状の影響を受けにくいことが示されている。

妻に依存しない関係づくり

もう一つ重要なのは、妻を自分の唯一の居場所にしないことだ。野上氏は「妻と仲良くすることと、妻に依存することは違う」と指摘する。妻を話し相手、予定表、世話役、生きがいのすべてにしてしまえば、妻は息苦しくなる。夫婦関係を良好に保つためにも、夫には夫の世界が必要だ。

「今日は自分の用事がある」「今週はこの人に会う」「自分にも役割がある」――そう思える場所が一つあるだけで、人の表情や姿勢は変わる。

現役時代からの準備が鍵

定年後に輝く人は、退職してから急に変わった人ではない。現役時代のうちから、少しずつ仕事以外の自分を育ててきた人だ。会社名を外した自分は誰とつながっているのか。肩書きを外した自分は何を楽しめるのか。指示を出さなくても誰かの役に立てる場所があるのか。定年退職は人生の終わりではない。

しかし、会社が与えてくれた役割は、いつか必ず終わる。その日に備えて、仕事以外の人間関係、役割、楽しみを育てておくことこそが、孤独で惨めな老後を避け、定年後も輝き続けるための最も現実的な処方箋だと野上氏は結論づけている。

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