9月から来年2月に回帰する2026年度の県内の秋サケ予測値が9400匹(26トン)で、東日本大震災前の漁獲量の0・1%になる見込みであることが、県水産技術センターの予報で明らかになった。三陸沖では近年、秋サケの記録的不漁に見舞われており、回復の兆しは見えていない。
漁港ではイワシやマグロが中心、秋サケの水揚げほぼゼロ
8月27日早朝、大槌町の大槌漁港では、沖合での定置網漁を終えた漁船が次々と入港し、水揚げ作業に追われていた。魚市場に出荷されたのはイワシやマグロなど約900キロ。10年以上前までは8月末から9月上旬は秋サケが取れ始める時期だったが、ここ数年はほとんど水揚げがない不漁が続く。
新おおつち漁業協同組合の小石保さん(49)は「もう秋サケには期待していない」とあきらめ顔だ。大槌町は秋サケを加工した「新巻き鮭」発祥の地とされる。同漁協では最盛期だった2014年度に約860トンが漁獲され、水揚げ高は約3億7000万円を誇った。「秋サケさえやっていれば、1年食っていける」と言われるほどの基幹産業だったが、昨年度の水揚げはわずか10匹ほどだった。
孵化場の集約も効果見えず、代替魚種の模索続く
同漁協では稚魚の放流数の増加につなげようと、周辺の4漁協と協力して孵化場を1か所に集約し、大規模化を図っているが、小石さんは「サケの代わりとなる魚種を見つけなければならないが、海洋環境の変化で毎年取れる魚が異なり、打つ手が見えない」と苦しい胸の内を明かす。
県水産技術センターは、前年度に漁獲したサケの年齢などから回帰予報を出している。今年度の数量は最低3000匹から最高4万500匹で、重量は8~118トン。過去最悪だった前年度の漁獲実績の1万6700匹(42トン)からさらに減少し、震災前3年間の平均(768万匹、2万5053トン)の0・1%まで落ち込む計算となる。
高水温と親潮の弱まりが不漁の背景に
秋サケの不漁が続く背景には、気候変動や海流などの海洋環境の変化があるとみられる。同センターによると、2019年以降、稚魚が成長する春先に三陸沖の高水温化が顕著となり、死滅のリスクが高まっているという。近年は親潮の流れが弱まっていることから、エサとなるプランクトンの減少も要因の一つとして指摘されている。
同センターの清水勇一漁業資源部長(52)は「全国的にサケの不漁が深刻化しており、今後は種卵が不足する可能性が高い。資源回復に向けて大型で強い稚魚を飼育し、回帰率を上げていきたい」と語った。



