静岡県で300年以上続く茶農家の出身である起業家が、茶畑の「サブスクリプション」(定期契約)サービスを企業向けに提供し、耕作放棄地の再生と温室効果ガス削減を同時に実現する取り組みを進めている。名古屋鉄道やトヨタホームなど東海地区の企業の利用が増えており、企業のESG(環境、社会、企業統治)活動を支援する新たなビジネスモデルとして注目を集めている。
茶畑サブスク「ChaaS」の仕組み
茶畑のサブスク「ChaaS(チャース、Chabatake as a service)」を展開するのは、静岡県浜岡市の「ブルーファーム」という会社だ。同社は後継者がいない茶畑や耕作放棄地を取得し、茶畑として再生。茶畑のオーナーとなる企業を募り、そこで生産したお茶「SUSTEA(サスティー)」(缶や紙パック入りの飲料)を届けている。2025年からサービスを開始し、現在は東海地区のほか、東京に本社がある日立ソリューションズや三菱食品など、全国の約40社と契約している。
山間部の茶畑で有機栽培、温室効果ガス削減
ブルーファームが手がける茶畑の多くは山間部にある。茶葉の栽培には通常、窒素肥料が多く使われるが、山間部は土壌が優良で有機栽培に適しており、二酸化炭素(CO2)よりも温室効果の高い一酸化二窒素が発生する窒素肥料を減らせるという。また、平地よりも害虫が寄りつきにくい利点もある。同社はセンサーで茶畑がCO2を吸収する量も測定しており、サブスクで290ミリリットル入りの缶を1000本購入した場合、温室効果ガスを約550キロ吸収・削減し、耕作放棄地0.6ヘクタール分の再生に貢献した計算になるとしている。
廃業する茶農家の現状と起業の背景
ブルーファームの青木大輔社長(41)は、JR東海を経て起業した。実家は静岡県で300年以上続く茶農家だが、後継者不足や高齢化により廃業する茶農家が増えている現状を目の当たりにし、「自分たちでやった方が早い」と決意したという。同社の取り組みは、茶畑の再生を通じて地域の農業を守るとともに、企業のESG活動に具体的な貢献を提供する点で評価されている。
企業のESG活動への貢献と今後の展望
「ChaaS」は、企業が環境貢献を実感できる仕組みとして、東海地区の大手企業を中心に広がりを見せている。名古屋鉄道やトヨタホームなどは、自社のESG活動の一環としてこのサービスを導入しており、温室効果ガスの削減量や耕作放棄地の再生面積を可視化できる点が評価されている。ブルーファームは今後、契約企業の拡大とともに、新たな茶畑の再生を進め、日本茶文化の継承と環境保全の両立を目指すとしている。



