長崎県島原市は、湧水の保全と観光振興への活用に向けた仕組みづくりを進めている。内閣官房の水循環アドバイザーを務める野田岳仁・法政大教授が現地を訪れ、湧水地の調査と地域住民との意見交換を行った。
70以上の湧水地、1日20万トンの湧水量
島原市には70以上の湧水地があり、1日の湧水量は20万トンとされる。現在も飲料や洗い物などに活用され、住民交流の場となっている湧水地がある一方、利用者が減ったり、関係住民の高齢化などで将来の維持が危ぶまれる場所もある。
住民の思い出と清掃活動の現状
野田教授は8月18~20日に訪問し、「宇土出口湧水」がある杉谷地区の住民と意見を交わした。住民からは、湧水地の池に豆腐やトコロテン、野菜などを入れた籠を漬けて冷やした思い出が語られた。清掃活動は今も続いているが、池に藻が増えたことなどから飲料に使う機会は減っているという。
水循環計画策定へ
市は野田教授の助言を仰ぎながら住民意見を集め、各湧水地の保全体制や観光振興を盛り込んだ水循環計画の策定を目指す。野田教授は「野菜や果物を冷やした経験は、湧水地ならではの暮らしで、ほかの地域にない魅力。それを復活させるだけでも外部の人を招ける」と助言した。