プラスチックごみのリサイクルが、かえって環境に悪影響を及ぼす可能性があることが、最新の研究で明らかになった。リサイクル工程でのエネルギー消費や輸送による二酸化炭素(CO2)排出量が、新規にプラスチックを製造する場合よりも多いケースがあるという。
リサイクルの環境負荷を検証
英科学誌『ネイチャー・サステナビリティ』に掲載された研究によると、プラスチックのリサイクル工程では、分別、洗浄、溶解、再成形などに多くのエネルギーを必要とし、その過程で大量のCO2が排出される。特に、輸送距離が長い場合や、リサイクル工程で化石燃料由来の電力を使用する場合、環境負荷が大きくなる。
研究チームは、日本を含む世界各国のリサイクルシステムを分析。その結果、リサイクル率が高い国でも、リサイクル工程全体のCO2排出量が新規製造を上回るケースが少なくないことが判明した。
「リサイクル神話」の見直しを
「私たちは『リサイクルは常に良い』という神話を信じすぎていた」と、研究を率いた英王立研究所のサラ・ジョーンズ博士は指摘する。「リサイクルが環境に与える正味の影響は、地域のエネルギー事情や輸送インフラに大きく依存する。単純にリサイクルすれば良いというわけではない」
例えば、日本の場合、プラスチックのリサイクル率は約25%だが、リサイクル工程でのCO2排出量は、新規製造に比べて平均で15%多いというデータがある。これは、日本のリサイクル施設が分散しており、収集・運搬に多くの燃料を消費するためだ。
リデュース・リユースが最優先
専門家は、リサイクルよりも、そもそもプラスチックの使用量を減らす「リデュース」や、繰り返し使う「リユース」が環境負荷低減に効果的だと強調する。また、リサイクルする場合でも、工程の効率化や再生可能エネルギーの活用が不可欠だ。
「私たちは、リサイクルを万能薬のように考えてきたが、それは間違いだ。まずは使い捨てプラスチックを減らすこと。そして、リサイクルするなら、そのプロセス全体の環境負荷を考慮する必要がある」と、ジョーンズ博士は話す。
日本の課題と今後の方向性
日本政府は、プラスチック資源循環戦略を掲げ、2030年までにリサイクル率を60%に引き上げる目標を設定している。しかし、今回の研究結果は、単にリサイクル率を上げるだけでは不十分であり、リサイクル工程の環境負荷を低減するための施策が同時に必要であることを示唆している。
具体的には、リサイクル施設の集約化や、収集運搬の効率化、再生可能エネルギーの導入などが挙げられる。また、プラスチック製品の設計段階からリサイクルしやすさを考慮することも重要だ。
「リサイクルは悪ではない。しかし、盲目的に信じるのではなく、その実態を正しく理解し、より効果的な方法を模索すべきだ」と、ジョーンズ博士は結論づけている。



