インドの自動車大手タタ・モーターズは、同社の小型電気自動車(EV)「パンチ」の航続距離を従来の200kmから330kmに延長した新モデルを発表した。これにより、インドのEV市場における競争力が一段と高まるとみられる。
航続距離330kmの実現とその背景
新モデル「パンチ・ロングレンジ」は、バッテリー容量を25kWhから32kWhに増強。これにより、1回の充電で走行可能な距離が約65%向上した。タタ自動車の広報担当者は「インドの顧客は航続距離への不安が依然として大きく、今回の改良はその課題に直接応えるものだ」と述べている。
同社は2025年までにEV販売比率を全販売台数の25%に引き上げる目標を掲げており、今回の航続距離向上はその達成に向けた重要な一手となる。インド政府もEV普及を後押ししており、2024年にはEV購入補助金制度を拡充する方針を示している。
インドEV市場の現状と課題
インドのEV市場はまだ黎明期にあり、2023年の新車販売に占めるEVの割合は約2%にとどまる。しかし、政府の補助金や充電インフラ整備の進展により、成長率は年率50%を超えている。タタ自動車はインドEV市場でシェア約70%を占めるリーダー的存在で、競合のマヒンドラ&マヒンドラや中国・比亜迪(BYD)も市場参入を加速している。
一方で、充電インフラの不足や高価格が依然として普及の障壁となっている。タタ自動車は2024年末までに全国に5000基の急速充電器を設置する計画を発表しており、インフラ整備にも積極的に取り組んでいる。
タタ自動車のEV戦略と今後の展望
タタ自動車は「パンチ」に加え、SUVタイプの「カーブEV」や高級セダン「ティアゴEV」など、ラインアップを拡充している。2025年までに10車種のEVを投入する計画で、小型車からプレミアムモデルまで幅広くカバーする方針だ。
同社のナターラジャン・チャンドラシェカラン会長は「インドは世界で最も急速に成長するEV市場の一つになる可能性を秘めている。当社はその中心にいたい」とコメントしている。
今回の「パンチ・ロングレンジ」の価格は約110万ルピー(約200万円)からで、既存のガソリン車と比較しても競争力のある価格設定となっている。これにより、より多くの消費者がEVに切り替えるきっかけになると期待されている。



