岐阜県は、世界農業遺産に認定されている「清流長良川の鮎(あゆ)」について、温暖化の影響で行動が変化していることを受け、漁期の見直しを検討している。岐阜大や長野大、県水産研究所などの共同研究で、河川や海水の温度上昇がアユに影響を与えていることが分かった。
夏場のアユ減少と産卵時期の遅れ
天然アユは秋に長良川の中流域で孵化し、伊勢湾で越冬、春に川を上って上流部で成長、秋に中流域で産卵して一生を終える。共同研究は2020年から行われ、生息密度の目安となる水中のDNA量検査で、中流域の水温が高くなる夏場はアユが上流部や支流にとどまり、鵜飼が行われている関市や岐阜市では数が少なくなっていることが分かった。
また、アユが産卵で川を下るのは平均水温が18度を下回りかつ増水した時で、漁獲尾数の調査では、降下が盛んになる時期が半世紀前の9月中下旬から、現在は水温低下の遅れで10月中下旬にずれている。
漁業調整規則の見直しへ
県の漁業調整規則では、アユの漁期は5月11日~12月31日、鵜飼漁は5月11日~10月15日と定められている。県水産業振興計画では、「最近の産卵は最も早くて10月下旬以降のため、翌年4月中旬までに遡上する早期遡上アユが減少してきている」と指摘。対策として、早期遡上アユを親魚に育てて採卵し、従来より1か月早い3月に稚魚を放流する技術を開発した。これにより、アユ漁解禁までに大きく成長し、天然アユと漁期の平準化が期待できるという。
県の担当者は「早期放流技術の確立と、産卵の遅れを考慮すれば、鵜飼漁期の幅を広げることができるのではないか」と話す。規則の見直しには国の認可が必要なため、県は流域4市や漁協、岐阜大などで「長良川流域協議会」を設置し、研究成果を参考に協議を進めている。県里川・水産振興課の桑田知宣課長は「規則の見直しには、多くの詳細なデータや漁業者の調整、合意が必要となる」としている。



