新山神社の五年祭、16年ぶり復活 大船渡・越喜来全体の祭りに
新山神社の五年祭、16年ぶり復活 大船渡・越喜来全体の祭りに

東日本大震災の影響で開催が途絶えていた新山神社(大船渡市三陸町越喜来)の式年大祭(五年祭)が11日、16年ぶりに復活した。担い手不足などから、実行委員会が神社のある浦浜地区以外に参加を呼びかけ、越喜来全体の祭りとして一新。住人の交流やにぎわいを創出する新たな地域のシンボルとして、第一歩を踏み出した。

漁船15隻が湾を巡り、神事や手踊り披露

秋晴れとなった11日、みこしなどをのせた15隻の漁船が色鮮やかな大漁旗をなびかせながら越喜来湾を巡り、祭りの開始を告げた。

地元に伝わる「金津流浦浜獅子躍」や「手踊り」といった神事なども行われ、会場となった越喜来漁港や三陸公民館には太鼓や囃子のにぎやかな音が響いた。

甫嶺地区から手踊りに初参加した新沼勝子さん(71)は「踊りの練習で知り合いが増え、本番でチームワークを発揮することができた。今後も地域のイベントに関わっていきたい」と声を弾ませた。

震災で約90人が犠牲、人口は約4割減

大漁や五穀豊穣を祈願する五年祭は、浦浜地区で4年に1度行われ、住民同士のつながりを深める貴重な機会となっていた。

しかし、震災で越喜来地域では約90人が犠牲となり、500世帯以上の建物が被災。復興途上の中、家族や友人らを失った住民からは祭りを望まない声が上がり、2010年を最後に開催されていなかった。同地域の人口は1852人(26年9月末時点)と震災前から約4割減少。祭りのにぎわいが消えた地区では、運動会やソフトボール大会なども開催されなくなり、住民が集まる機会は限られるようになった。

実行委が越喜来全体の祭りとして復活を決断

「住民のつながりを再び強くするためには、祭りをやるべきだ」。祭りの実行委員長を務めた鈴木健悦さん(76)は神社側から祭り復活の相談を受けて一念発起し、25年11月に実行委を設立した。

祭りの担い手不足が課題となる中、実行委として震災前と同様に浦浜地区のみでの開催は難しいと判断。周辺地区の自治会長らとも相談しながら越喜来全体の祭りとしての復活を決めた。複数あった手踊りの団体も一つに集約し、山車も1台に減らした。

祭りの当日は各地区から約500人の住人らが参加し、笑顔の輪が広がった。16年ぶりの開催に鈴木さんは「祭りを通じてみんなが一つになってくれた。祭りを機に生まれたつながりを、今後のまちづくりに生かしていければ」と手応えを感じていた。