8月末の記録的な大雨は、福井県内の農作物に大打撃を与えた。特産のソバは農地の半分近くが浸水や冠水の被害を受け、収穫シーズンを迎えているコメは収量や品質への影響が懸念されている。閣僚らは被災地の視察に続々と訪れるが、農業関係者の不安は募る。
鈴木農相が田中農園を視察、知事も支援要望
鈴木農相は7日、坂井市で水稲やソバなどを生産する「田中農園」を視察した。田中勇樹社長(47)や県の担当者が被害について説明し、同行した石田嵩人知事は被災農家らへの支援を要望した。
鈴木農相は、「第1次産業は気候変動との闘いになってきている。生産者の意向も確認し、県、地元自治体と連携して対応させていただきたい」と述べた。同農園には5日、赤間防災相も視察に訪れた。
ソバやカボチャが全滅、コメ3トンも廃棄
田中社長の説明によると、農園ではソバ(栽培面積15ヘクタール)とカボチャ(同4ヘクタール)が全滅した。さらに、倉庫に保管していた昨年度産と今年度産のコメ3トンが泥水につかり、廃棄処分になった。精米設備一式も浸水被害で故障し、修理や買い替えが必要になっているという。
田中社長は「ソバは30センチほど育っていたが、全滅してしまった。水稲の刈り取りに大きな影響が出ていないのは不幸中の幸いだ」と話した。
県内ソバ作付面積の約半分で被害報告
県によると、県内のソバ作付面積は約3000ヘクタールで、7日までに、このうち約1380ヘクタールで被害が報告されている。
福井、坂井両市の生産者グループに所属する小倉崇文さん(50)は、約200ヘクタールあるグループのソバの畑のうち、約8割が壊滅的な被害に遭ったと明らかにした。種をまき直しているといい、「なんとか4~5割は挽回したい。まき直しにかかるお金の支援を(国や県に)求めていきたい」と語った。
コメへの影響懸念、住宅被害も784棟
県産農作物の主力であるコメへの影響も懸念されている。農林水産省の統計によると、販売目的の水稲作付面積は福井市が約4406ヘクタール、坂井市が約3797ヘクタールで県内1、2位を占めている。被害は福井市で185ヘクタール、坂井市で16ヘクタールに及んだ。
福井市農政企画課の担当者は「稲が長時間水につかっていなければ稲刈りは可能だが、品質に影響があるかもしれない」と懸念する。市内では美山地区で水田に土砂が流入するなどの被害があったといい、「田んぼや用水路の復旧作業を進めたい」と話した。
農家の負担がさらに増す恐れもある。JA福井県の担当者によると、冠水被害に遭うことで、収穫や乾燥などの作業に通常より手間がかかる場合があるという。「収量、品質とも被害の全貌がわかるまで時間はかかりそうだ」と話した。
7日午前11時現在の県のまとめによると、住宅への被害は床上・床下浸水と一部損壊で5市1町計784棟になった。



