独身研究家でコラムニストの荒川和久氏は、少子化問題に取り組む上で見過ごされがちな視点を提示する。現在の日本の合計特殊出生率(TFR)は低迷しているが、対策の優先順位を誤ると効果が上がらないと警告する。
無子率削減が出生率回復の鍵
荒川氏の分析によれば、無子率を現在の45.4%から5%ポイント削減して40.4%にすると、子ども1人当たりの出生数(CPM)が変わらなくてもTFRは1.25まで回復する。一方、無子率を固定したままCPMだけで同じ効果を得るには、CPMを2.30人に引き上げる必要がある。これは1990年以来達成されていない水準であり、実現は極めて困難だ。
無子率を10%削減すればTFRは1.36、15%削減すれば1.46に回復するが、その場合に必要なCPMはそれぞれ2.49人、2.68人となり、過去のデータを超える非現実的な値となる。したがって、現実的な目標は無子率を5%ポイント削減し、TFR1.25を目指すことだ。この水準でも、現在の人口動態を考慮すれば最大限の成果といえる。
無子率改善が優先される理由
荒川氏は、無子率とCPMの両方を改善すべきだが、実現性と寄与度の観点から無子率削減が優先されると主張する。無子率改善は子ども0人から1人への創出であり、CPMに換算すると期待出生数2.10人に相当する。その上でCPMが上積みされればなお良い。
無子率の改善は、ほぼ9割が初婚増加によって実現する。つまり、既婚夫婦に多産を促すよりも、未婚率を下げて初婚を増やし、一人以上出産する母親の数を増やすことが重要だ。荒川氏は「無子率(未婚率)の改善なしに出生率は絶対に改善されない」と断言する。
都道府県別に見えてきた構造の違い
続くページでは、都道府県別のデータから見える少子化の構造的な違いを分析する。地域によって無子率やCPMの傾向が異なり、画一的な対策では効果が限られることを示唆する。



