栃木県鹿沼市の東武日光線新鹿沼駅で除草作業中の作業員4人が特急列車と接触して死亡した事故で、運転士が現場の手前約215メートル地点で見張り員からホーム進入許可の合図を受けたと認識し、警笛を鳴らしていたことが、東武鉄道への取材で分かった。
実際には作業員4人は線路上に残っており、目視した運転士が非常ブレーキをかけたものの間に合わなかった。県警は業務上過失致死容疑で捜査しており、列車のカメラ映像の解析のほか、無事だった作業員や見張り員、運転士への聴取を行い、当時の状況を調べている。
現場には10人、見張り員2人が配置
東武鉄道によると、事故当時、現場周辺には作業指揮者と作業員、見張り員の計10人がいた。このうち現場の手前約315メートルの位置に「中継見張り員」、約80メートルの位置に「列車見張り員」が配置されていた。
除草作業中に列車が接近した場合は、▽列車に近い中継見張り員が、列車見張り員に旗を振って接近を知らせる▽列車見張り員が作業員に退避の合図を出す▽退避が完了する▽列車見張り員と中継見張り員が、それぞれ列車の運転士に旗を上げて接近了解の合図を送る▽運転士は合図を確認して警笛を鳴らす――という手順になっていた。
合図はなぜ出されたのか、不明点も
運転士は同社の調査に対し、「接近了解の合図を見た」と証言。同社は列車見張り員の合図だったとみている。作業員が退避できていない中で、合図はなぜ出されたのか。現場を統括する作業指揮者も列車見張り員とともに退避を確認する手順になっているが、今回の対応は明らかになっていない。
中継見張り員の行動にも不明点がある。作業中であれば、線路脇に立って列車の接近を伝える旗を振る必要があるが、中継見張り員は「(列車見張り員と)意思疎通できる状態ではなかった」と話しており、見張り員同士の連携が取れていなかったとみられる。県警は作業員らに列車の接近が伝わらないまま事故が起きたとみて、現場の状況を詳しく調べている。



