愛知県内を襲った記録的大雨から一夜明けた9日、各地の被害状況が明らかとなり、住民たちは片付けなどに追われた。名古屋市には災害救助法が適用され、復旧に向けた動きも始まった。
各地で被害相次ぐ
「再開を目指すが、1か月はかかるだろう」。浸水被害を受けた名古屋市東区のカフェ&バーのマスターの男性(28)は残念そうに語った。店は今年4月にオープンしたばかり。店の通り側に止水板はあったが、通行する車が水をはね上げ、植木鉢などがぶつかり窓ガラスが割れた。8日は定休日のため客はおらず、飲み物の瓶が床に散乱し、机や冷蔵庫などが倒れるなどの被害が出たという。
同市名東区の植田川近くの住宅地では、大雨の影響で川の水があふれ、住宅地の至る所で歩道の上に土砂が堆積した。護岸ののり面も一部崩落し、作業員らが復旧作業を急いでいた。
川沿いの民家の1階部分にあたる車庫兼倉庫では、浸水の形跡が生々しく残されていた。成人の胸の高さほどまでつかったとみられ、ひしゃげたシャッターの奥には自転車や物が散乱。住人の男性(84)は「川の水が増え始めて1時間ほどで一気に水が迫ってきた。水は朝には引いたが、片付ける気力がわかないので助けがほしい」と話した。
災対本部員会議
名古屋市は9日午前9時から、災害対策本部員会議を開催。広沢一郎市長ら幹部が出席し、被害状況を確認するなどし、8日付で災害救助法が適用されたことなどが報告された。
市管理の道路上では、車両約200台が立ち往生し、緊急車両の走路を確保するために路肩への移動作業が行われた。避難所410か所が開設され、最大3547人が避難。市立の小中学校など計410校全てが休校となった。
広沢市長は「避難情報は全て解除したが、多くの方がまだ避難所にいる。被害の全体像を把握し、市民の安心安全を守る行動をしてほしい」と呼びかけた。
アジア大会施設にも影響
アジア競技大会の施設にも影響が出た。大会組織委員会によると、同市港区のコンテナ型宿泊施設などから選手を含む約400人が一時、別の場所へ避難したという。広沢市長は9日、大会の一部会場で雨漏りなどが起きたことに触れた上で、「開催に支障はないと考えている」と強調した。
一方、広沢市長は市営地下鉄が8日午後10時半頃まで全線で長時間にわたり運転を見合わせたのは初のケースだったことも明らかにした。帰宅困難者が発生し、退避施設では一夜を明かす人たちもいた。市交通局の担当者は「市内の多くの地域で避難指示が出たことや各駅で浸水の危険性が高まり、地下空間が危険だと判断した」と運休の理由を説明した。
大雨は愛知県西部などにも影響を与えた。大府市も8日は避難所を開設し、公民館で帰宅困難者らを受け入れた。保護者の帰宅が困難となる状況も発生したため、保育園児や放課後クラブ利用の児童らを深夜まで預かった。9日は県内の小中学校など69校が臨時休校した。
名古屋地方気象台によると10日午後6時までの24時間降水量は、多いところで100ミリとなる見込み。地盤の緩んでいるところでは、少しの雨でも土砂災害の危険度が高まる恐れがあり、警戒を呼びかけている。



