大阪市消防局の安全管理新部隊、出動30件に 殉職ビル火災機に創設
大阪市消防局の安全管理新部隊、出動30件に

大阪市消防局が道頓堀のビル火災を機に新設した安全管理の統括部隊が、今年7月末までに30件出動していたことが16日、分かった。大規模火災など隊員の受傷リスクがある現場に出動し、燃焼中の建物に危険がないか警戒するほか、隊員が巻き込まれた場合には救出活動の指揮を執る。

道頓堀ビル火災から1年、新部隊の実績

火災から18日で1年。市消防局は昨年11月、警防部内に安全対策担当課長のポストを新設し、今年5月末には現場隊員の安全管理を専門とする「安全統括隊」の本格運用を始めた。担当者は「災害現場での安全確保の早期強化のため、他の対策に先行して隊の整備を進めた」と説明する。

同隊には10人が所属し、大規模火災など隊員の受傷リスクがある現場に駆け付ける。燃焼中の建物のリスクを調べるほか、活動中の隊員が巻き込まれた場合には救出活動の即時指揮を執る。同様の専門部隊は東京消防庁や静岡市消防局でも設置されている。

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出動30件、隊員の安全確保に貢献

4月からの暫定運用期間を含め、同隊は7月末までに火災現場を中心に30件出動。隊員の救助活動を必要とする事案はなかったが、現場の隊員からは「安全管理体制がより強固になった」との声がある。山下博淳隊長は「自らを守れてこそ人を救うことができる。一つ一つの判断や行動が隊員の安全を左右する責任を自覚し、安全を最優先とする現場活動を徹底していきたい」と述べた。

元東京消防庁麻布消防署長の坂口隆夫氏は「殉職から1年以内に安全統括隊を発足させるなど、早い段階で再発防止策を具現化させたことは評価できる。特に人員調整を伴う部隊新設は簡単ではなく、組織の強い危機感の表れだ」とみる。一方、過去には安全専任部隊を設立後に再び殉職事故が起きた例もあり、坂口氏は「組織を作って終わりではなく、機能させ続けられるかが問われる」と指摘する。

残る課題、VR訓練やドローン導入はこれから

組織改変で一定の実績を示した市消防局だが、対策は道半ばだ。高度な訓練の実施に向け4月以降に導入予定だったVR訓練システムは、必要な機器やシステムの検討、契約の手続きに時間を要しており、運用は来年度以降となる見込み。上空からの状況監視のためのドローンや、視界が悪い状況下での退路確保につながる反射式ホースなどの導入もこれからだ。

道頓堀ビル火災では、建築基準法や大阪市の条例に適していない屋外広告が延焼の一因となった。市が実施した同エリアの屋外広告の適法性に関する調査結果(6月30日時点)によると、建築基準法で不燃材料の使用が義務づけられている128の屋外広告のうち、半数以上の78件が不燃材を使用していなかった。78件のうち、是正が完了したのはわずか6件。不適合のうち半数以上の47件は、不燃材料への取り換え時期などを明記した計画書すら提出していない。

市によると、屋外広告がある道頓堀川沿いは歩行者も多く車両の出入りが困難で、費用面などを踏まえ、作業計画の作成に時間を要すケースが多いという。担当者は「電話で是正計画の提出を催促するなど、速やかな是正のため指導を進めていく」と話した。

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