7月28日の熊本地震から1カ月が経過した。熊本県氷川町の立石地区では、農業用水を送るパイプラインが損傷し、田んぼが干上がったままとなっている。区長で、祖父の代から続く農家の浜田康浩さん(64)は、日焼けした稲を見つめながら「今年の米は全滅です」と肩を落とした。
約1.7ヘクタールのもち米が収穫絶望的に
本来なら稲穂が実り始める田んぼに水が届いておらず、約1.7ヘクタールで栽培していたもち米は収穫が絶望的な状況だ。地震で農業用水が止まり、田んぼから水気がなくなって日焼けが進んだ稲が広がっている。
被害は米だけにとどまらない。一大産地となっているイグサ栽培にも影響が及んでいる。育てているイグサの苗は今後、水田に植え付ける予定だが、水のめどが立たないと植えることはできない。畳表を織る機械も損傷したという。
離農の懸念と自宅の全壊
浜田さんは昨年、脳梗塞を患い、作付面積を半分に減らした。地域の農家も高齢化が進んでおり、「今回の地震を機に、離農する人が増えるんじゃないですか」と懸念する。
築60年ほどという自宅は基礎がずれ、全壊判定を受けた。「家のことで精いっぱいで、もう農作業どころじゃなかけんです」。現在は近くに設置されたインスタントハウスで生活している。
農業も暮らしも先行き見えず
区長として地域の将来を案じる一方、自らの生活再建も見通しが立たない。秋の気配が近づく田園地帯で、農業も暮らしも先行きの見えない日々が続いている。



