「若いうちはガムシャラに頑張んなさい」──。ある自治体職員のこの言葉に、思わず考え込んでしまった。果たして今、公務員という職業は「割に合う仕事」なのだろうか。若い世代の職員はやりがいを実感できているのだろうか。
人手不足、待機格差、報われにくさ……。それでもなお「社会を変えられる仕事」と信じて行政の仕事に就く人たちは、日々どんな現実と向き合い、どうやってモチベーションを維持しているのでしょうか。
自治体のCIO補佐官として、複数の自治体現場でDXを支援する筆者の視点から、制度や仕組みだけでは語れない、自治体職員の「働く意味」を探ってみたいと思います。
公務員は「割に合う」仕事なのか
そもそも、人手不足が深刻化した現在、公務員という職業は魅力的な仕事なのでしょうか。いや、もっとストレートに言うと、「割に合う」仕事なのでしょうか。
憲法で保障された「職業選択の自由」の世の中で、他の職業ではなく、あえて公務員を選ぶのですから、そこには何かの理由があるはずです。
一方、民間企業に比べて、現在の公務員の待遇が極端に良いかというと、そうでもありません。一般的な労働市場に照らしたら、魅力的には映らないはずです。
先日、公務員の方々を対象としたシンポジウムの中で、登壇していた公務員の方に率直に質問してみました。「なぜ自治体職員という職業を選んだのですか?」
その方の答えは、
社会を変えることができる仕事だから
というものでした。さらにその方は、
社会変革自体は身近な範囲で個人でもやれないことはない。しかし、自治体という規模でしかできないこともある
と続けました。
ちょっとカッコつけているようにも感じましたが、この視点は筆者にはなかったので、新鮮でした。ただ、若い世代の職員がそのことを実感できているかというと、疑問です。
そもそもそのような仕事のフィールドを与えられていない、あるいはフィールドがあることに気付いていない職員の方が多いと思いますし、何よりも人事異動ローテーションの中で自分が望むフィールドに居続けることも難しいのではないでしょうか。
「若いうちはガムシャラに」の真意
このテーマに関連して、会場から「若い世代の職員に対して何か叱咤するメッセージを」という問いかけが出たことに対し、その方のコメントは次のとおりでした。
若いうちはガムシャラに頑張んなさい。理不尽なこともあるかもしれないけど
なるほど。つまり、この方の気付きは、自分の経験により、事後的に生まれたものだと感じました。言い換えると、これに気付いたことで、自治体職員として充実した人生を送っているのでしょう。
「給与=対価」という考え方の落とし穴
今回のテーマについて、いろんな公務員の方からお話を伺ってきましたので、私なりに考えてみたいと思います。
「給与=対価」という考え方の落とし穴についてです。公務員の仕事は、必ずしも給与という対価だけでは測れない価値を持っているのではないでしょうか。
社会を変えるという仕事のフィールドを与えられていることに気付いていない職員が多い中で、どのようにして若い世代にその魅力を伝えていくのかが、今後の自治体経営の課題と言えるでしょう。



