水上バイクのジェット噴流で死亡事故、ウェットスーツ着用呼びかけ
水上バイクのジェット噴流で死亡事故、ウェットスーツ着用呼びかけ

水上バイクによる水難事故が後を絶たず、先月も千葉県で発生した転覆事故で女性が行方不明になった。水上バイクの事故はほかの船舶事故と比べて死傷者の発生率が高く、ジェット噴流に巻き込まれるケースも多い。海上保安庁は、身の安全を守る装備を着用した上で楽しんでほしいと呼びかけている。

ジェット噴流の危険性

昨年9月下旬、岡山市の海岸沖で水上バイクに乗っていた20歳代の女性2人がバランスを崩して海に転落後、バイク後部のジェット噴流が直撃し、1人は下腹部損傷による失血で死亡。もう1人も内臓損傷の大けがを負った。

こうした水上バイクのジェット噴流による事故は毎年のように発生している。2024年には、滋賀県の琵琶湖や佐賀県の海岸で同乗者が転落して内臓損傷の重傷を負うなどの事故が起きた。

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装備の重要性

水上バイクのジェット噴流は果物を砕くほどの威力があるとされ、体に当たったり、体内に入ったりすると深刻な被害につながる恐れがある。各メーカーは乗船時、ジェット噴流から体を保護するためにウェットスーツなどの着用を求めている。運輸安全委員会の報告書によると、これらの事故で死傷した女性らが着用していたのは水着や薄手の半ズボンなどで、ジェット噴流の水流を防ぐには不十分な装備だった。

水上バイクの操縦者は同乗者にライフジャケットを着用させることが義務づけられている。ただ、ウェットスーツなどについては着用義務はない。報告書では操縦者の理解不足や同乗者へのウェットスーツなどの着用徹底が不十分だったことを事故要因に挙げた。

事故の現状と対策

水上バイクは機動性に優れてスピード感が楽しめるレジャーとして、若者らから人気を集めている。国土交通省によると、25年度末時点の免許所持者は全国で322万人に上り、20年度末から8万人以上増えた。

一方、水上バイクの事故では、ジェット噴流による内臓損傷以外にも、水上バイク同士の衝突や、水上バイクに引っ張られて遊ぶ遊具から転落するケースも目立っている。海上保安庁によると、25年は水上バイクの事故が全国で計42件発生した。

水上バイクの事故はほかの船舶事故などに比べて同乗者や遊泳者などの事故が多く、死傷者の発生率が3倍以上という運輸安全委のデータもある。7月には千葉県いすみ市の河口付近で水上バイクが転覆し、10歳代の女性が流されて行方不明となった。5月には、福島県会津若松市の猪苗代湖で水上バイクが転覆し、東京都内の男子高校生が死亡する事故も起きている。

水上バイクを含めた水上レジャーによる事故は夏に増加する傾向にある。海保幹部は「レジャー中の事故防止に向け、ライフジャケットの正しい着用、天気予報や自身の体調確認が大切。事故が起こった際には周囲にすぐ知らせ、速やかに救助を要請してほしい」と話している。

外国人の事故も増加

水上レジャーを巡っては近年、外国人が事故に遭うケースも増加している。海上保安庁は注意事項をまとめた12か国語のチラシを作成するなど対策を強化している。

海保によると、2021~23年に遊泳や釣りといった海のレジャー中に事故に遭った外国人は年間30人台で、死者・行方不明者はそのうち12~13人だった。24年は60人が事故に遭い、死者なども21人といずれも倍近くに増加。25年も50人が事故に遭い、死者などは15人と高止まりしている。

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海保は、海がない国などから観光に来た外国人が、海の危なさを知らずに事故に遭っている可能性があると分析。飲酒後に遊泳しないことや、立ち入り禁止エリアでの釣り禁止などの注意事項を書いたチラシを英語や中国語など12か国語分作成し、昨年から空港などでの配布を始めた。

◆水上バイク= ジェット噴流を推進力にして海岸や湖岸から2カイリ(約3・7キロ・メートル)以内の水域を走る乗り物。操縦するには「特殊小型船舶操縦士」免許が必要。実技や学科などの試験があり、16歳から免許を取得できる。