「3日間で片付くのか?」――百戦錬磨のスタッフでさえ、その膨大な量に焦りを覚えた。玄関の引き戸を開けると、まず物量に圧倒される。下駄箱の上から天井近くの棚にいたるまで、靴が入っていた段ボール箱が隙間なく積み上げられ、どれも埃をかぶっている。足元を見ると、靴を脱ぐスペースはパンパンに膨らんだゴミ袋で塞がれていた。
リビングとキッチンの惨状
奥へ進むとリビングがある。床を埋め尽くすのは、開封されたままの段ボール箱、バラバラに散らばった書類や雑誌、チラシの束だ。その隙間に、ハサミやペン、レジ袋、飲みかけのペットボトルなどが無造作に転がっている。キッチンの左右には背丈ほどの食器棚や冷蔵庫が並び、人が1人通るのがやっとの狭さだ。食器棚の上にはネズミのフンが散乱し、床は人が行き来する隙間もなかった。
和室も同じだった。床には黒や緑のゴミ袋、ミカンの段ボール箱、大きな白い袋などが重なり合い、スタッフの膝近くに届くほどの高さまで埋まっている。窓際にはテレビや棚が見えるが、手前に置かれたモノに阻まれて近づくことすらできない。押し入れに入っていた段ボール箱には、ネズミにかじられた跡があった。押し入れの中にはネズミのフンや段ボールをかじった跡がたくさん見つかった。
猫の死骸と動物の侵入
さらに2階と屋根裏部屋まであった。急な階段を上ると、1階と同様、いやそれ以上のモノが2階の3部屋すべてを埋め尽くしていた。1つの部屋に関しては天井までモノでいっぱいで、暗闇である。その中には、白骨化した猫の死骸も含まれていた。ネズミやイタチも侵入しており、衛生状態は極めて悪かった。
以前、本連載で取り上げたコンビニオーナーの事例も似ている。夫と子どもを交通事故で立て続けに失った女性は、コンビニの店内はきれいに保ちながらも、自宅はゴミ屋敷になっていた。家への関心が失われたとき、ゴミ屋敷へと変わり始めてしまうのだ。
セルフネグレクトの背景と子どもたちの思い
このゴミ屋敷の住人は、セルフネグレクト(自己放任)の状態にあった。社会とのつながりを絶ち、自宅の衛生管理もままならない。片付けを依頼したのはその子どもたちだが、彼らは無言で作業を見守り、複雑な表情を浮かべていた。親の孤独と、それでもなお親を思いやる気持ちが垣間見える。
片付けには専門業者「イーブイ片付けチャンネル」が当たり、総量は16トンにも上った。スタッフは「これまでにない量で、精神的にも肉体的にも厳しかった」と振り返る。しかし、彼らは黙々と作業を続け、家は徐々に元の姿を取り戻していった。



