大津の学生死亡事故、インストラクター側が8850万円支払い和解
大津の学生死亡事故、8850万円支払いで和解

福井県南越前町沖の若狭湾で2020年9月、スキューバダイビング講習中に大津市の専門学校生、伊藤駿希さん(当時19歳)が死亡した事故で、インストラクターの男性と実習を担当した運営会社に約1億500万円の損害賠償を求めた訴訟の和解が9月1日、地裁で成立した。男性らが遺族に対して8850万円を支払う。

事故の経緯と和解内容

訴状などによると、男性は同年9月2日、ダイビング経験のない伊藤さんを注視して事故を防ぐべき業務上の注意義務を怠り、空気を吸入する機器が伊藤さんの口から外れて呼吸できない状態になっても適切な措置を行わず、低酸素脳症で死亡させたとしている。

和解条項では、裁判所の勧告に基づいて伊藤さんの死亡に伴う逸失利益や慰謝料などの人的損害を算定。被告側が琵琶湖の清掃などの社会奉仕活動に従事したり、遺族がデザインした安全啓発品を配布したりすることも盛り込まれた。

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刑事裁判と遺族の思い

刑事裁判では、男性は業務上過失致死罪に問われ、福井地裁は21年11月、禁錮2年、執行猶予4年の判決を言い渡していた。

遺族らはこの日、大津市で記者会見し、伊藤さんの父、修司さん(57)は「事故を決して風化させず、次の世代に教訓をつないでいく」と話した。

家族の言葉と駿希さんの人柄

「裁判官と対話を続けていく中で、私たちの思いが通じた。家族みんなで考えてきたことが、駿希に届いたのかな」。母の美はるさん(58)は記者会見で、安堵の表情を浮かべた。

サッカーを心から愛していたという駿希さん。飾られたユニホームやサッカー部にいた高校時代の写真を背に、美はるさんは「『サッカーの楽しさを広げたい』と言っていた駿希が、サッカーで終われなかった人生で悔しいだろう」と思いやった。

9月1日は駿希さんの誕生日。修司さんは「生まれた日の雲一つない晴天が忘れられない。今日で25歳の誕生日を迎えられるはずだったのに」と残念がった。2人の姉にとっても甘え上手でかわいい弟だった。長女、ゆきのさん(29)と次女の里紗さん(27)は「尊い命を決して無駄にしてほしくないし、自分も無駄にしたくない」と語った。

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