福井県立恐竜博物館(福井県勝山市)の副館長を務める寺田和雄氏は、同館の人気企画展の裏側や、恐竜人気に伴う課題について語った。令和6年度のアンケートでは来館者の92%以上が「満足」と回答し、リピーターも多いという。
全国の博物館に波及した恐竜人気
寺田氏は「ウチが成功したことで他へ波及したと思っていますし、それだけ恐竜の人気が高まっているのでしょうね」と話す。同館の存在感や知名度が世界的に高まったことで、従来できなかったことも可能になったという。
企画展や特別展は博物館の目玉行事の一つだが、同館の企画展示は予算も規模も他館よりはるかに大きい。研究員が海外へ出張して標本を借りる交渉や契約業務まで行っており、その仕事量は非常に多いという。
特別展「バッドランドの恐竜たち」の成功
令和6年7~11月に行われた特別展「バッドランドの恐竜たち~北アメリカの1億年~」では、姉妹提携関係にあるカナダのロイヤル・ティレル古生物学博物館の特別協力を得て、貴重な恐竜化石標本を借りることができた。中でも「ブラックビューティー」と呼ばれるティラノサウルスの頭部化石標本は、同館でも一番人気の展示で、これまでほとんど貸し出されたことがなかったという。
この特別展は大きな評判を呼び、期間中に約34万人の来場者があった。「他の所には出さないけれど、ウチには貸してくれるのは、ウチが実績を積み重ね評価されるようになったからだと思います」と寺田氏は語る。
運搬費高騰という課題
一方で、近年は世界的な運搬費の高騰が課題となっている。通常の企画展の予算規模は6千万~7千万円程度で、半分程度をスポンサーが持つケースが多いが、「バッドランドの恐竜たち」は約2億円の予算を組んだ。しかし、北米からの運搬費だけで1億円かかる見積もりが出たという。
寺田氏は「人件費も燃料も高騰したからでしょうね」とし、標本の点数を減らしたり船便を使ったりして予算内に収めたと説明する。恐竜の化石標本を購入する場合の価格も高騰しており、億単位になることも珍しくないという。
その一方で、入場料収入や標本の貸出費に加え、館内のミュージアムショップのグッズ売り上げも好調だ。寺田氏自身がデザインした福井の恐竜グッズも販売されているという。



