千葉県内で2か月前の豪雨によるアンダーパス冠水を受け、進入を防ぐ「エア遮断機」の導入が加速している。千葉県と千葉市が設置を進めるほか、国土交通省が6日に示した指針を受け、他の自治体にも広がる見通しだ。
エア遮断機とは
エア遮断機は、冠水や土砂崩れなどで道路の通行が危険と判断された際、自動制御や遠隔操作で筒型のバルーンを膨らませて道を塞ぐ装置。20秒ほどで膨らむ製品が一般的で、発光ダイオード(LED)を内蔵し、夜間でも見落としにくい。材質は柔らかく、接触しても車や運転者への影響は少ない。
読売新聞の取材では、県内には大雨などで冠水する恐れがあるアンダーパスやトンネルが27市町に103か所ある。千葉豪雨ではこのうち53か所が冠水し、少なくとも車47台が水没、2人が死亡した。道路冠水で作業員が現場に駆けつけられず、バリケードによる通行規制が遅れたことも被害拡大の一因とみられる。
県と千葉市の導入方針
県によると、県内でエア遮断機を導入しているのは千葉市と松戸市だけだ。千葉市では、管理するアンダーパス14か所中13か所が冠水し、このうち5か所で車10台が水没した。15センチ以上の冠水を検知すると自動作動するエア遮断機が2021年6月に導入された2か所も冠水したが、車の被害はなかった。
千葉市は「ほかのアンダーパスにもエア遮断機があれば車の被害をもっと防げた」(市土木管理課の担当者)とみており、今後1億5000万円を投じ、未設置のアンダーパスへの設置を進める方針だ。県も3億6000万円を投じ、管理道路のアンダーパス全24か所にエア遮断機を導入する予定という。
他自治体にも広がる動き
国交省が6日に示した指針で、アンダーパスの冠水リスクを4段階に分類し、最も危険な「特に高い冠水リスク箇所」に遠隔操作できる遮断機の設置などを求めたため、他自治体でも動きが加速している。
千葉豪雨で管理するアンダーパス7か所のうち4か所が冠水した柏市は「国の指針に沿って導入を検討していく」(市道路保全課)とし、全6か所が冠水して車1台が水没した船橋市も「エア遮断機を製造しているメーカーを調べるなど情報収集を進めている」(市道路維持課)とした。
課題と今後の対策
一方、エア遮断機も万能ではない。松戸市では、2021年3月に冠水したアンダーパスに車が突っ込み、運転者が通りかかった人に救出された事案を受け、今年4月までに4か所で設置。千葉豪雨では4か所全てが冠水し、エア遮断機は正常に作動したが、1か所で車2台が水没した。
市が運転者に確認したところ、片側1車線を塞ぐエア遮断機を「うっかり」(運転者)押しのけ、2メートルほど冠水したアンダーパスに入ってしまったという。市道路維持課の担当者は「エア遮断機がなければもっと勢いよく突っ込んでいたかもしれない」としたうえで、「エア遮断機は現状、最善の対策だと考えているが、運転者一人一人が気をつけて運転する必要があることに変わりはない」と指摘している。