れいわ新選組の山本太郎氏が引退会見で見せた笑顔が、視聴者に強い嫌悪感を与えた理由について、表示規則の観点から分析が行われている。会見では、質問に対して大げさなほど怪訝な表情を見せる場面も度々あり、その表情の逸脱が批判を呼んだ。
表示規則の逸脱が生む違和感
「見た目」戦略研究家の宮本文幸氏(桜美林大学ビジネスマネジメント学群教授)は、山本氏の表情について「表示規則」という概念を用いて解説する。表示規則とは、場面に応じて適切な表情を選択する社会的なルールであり、深刻な謝罪会見では沈痛な表情が求められる。しかし、山本氏の笑顔はこの規則から逸脱しており、それが視聴者に違和感や嫌悪感を与えたと指摘する。
考えられる理由として、まず「場の切り替えの誤差」が挙げられる。普段の緩やかなやり取りの調子が、謝罪会見という場への切り替えの中でうまく抜け切らず、不適切な表情が表出した可能性がある。次に「意図的な逸脱」、つまりあえて規則から外れた表情を見せることで「動じていない」という強さを演出しようとする戦略的なものだ。ただし、映像だけでは山本氏にどれが当てはまるかは判別できない。
深刻な場での笑いが好意的に受け取られる場合も
一方で、深刻な場での笑みがすべて否定的に受け取られるわけではない。表示規則の枠組みでは、笑いの有無そのものではなく、「表出のタイミングと、何に対して向けられた表情か」が重要だ。例えば、危機的な状況の説明を終え、今後の対応や見通しを語る段階で、抑えた短い微笑みを見せることは、「開き直り」ではなく「落ち着き」や「前を向く意志」として好意的に受け取られることが多い。
会見では、旧知の仲と見られる記者からの質問に対して、優しく微笑む様子も見られた。このような表情は、適切なタイミングであれば好印象を与えうるが、山本氏の場合は全体的なタイミングの悪さが批判を招いた。
内心の判別は不可能
宮本氏は、表情の逸脱という「現象」は観察できても、それが意図的か無意識かという「内心」までは外部から確認しようがないと指摘する。山本氏の笑顔が戦略的なものか、単なる誤差かは、映像だけでは判断できない。しかし、受け手の感情に与える影響は大きく、今後の政治家の表情戦略において重要な事例となるだろう。



