富山市職員が2025年の国勢調査の人口を水増ししたとして総務省に刑事告発された事件で、市職員が世帯員の氏名が書かれていない調査票を捏造していたことが、同省への取材でわかった。居住実態が確認されていない世帯について、市職員が鉛筆でマークシート式の紙の調査票に世帯員の人数を記載していたが、氏名が書かれていないものがあったという。
調査票の作成方法と捏造の手口
原則として調査票は、住民や、住民などから聞き取った国勢調査員が記入する。同省によると、国勢調査では、調査票に世帯員の氏名などが記載されていなくても集計対象とすることができる。根拠なく、市職員が作成した調査票は2000人分以上という。
市職員が作成したのは、調査員が現地訪問して居住実態が確認できなかった世帯。市は調査票とは別に、世帯のリストを作っているが、リスト上で調査員が居住実態を確認できないとして、二重線を引いたものを市職員が消しゴムで消し、これらの世帯についての調査票を捏造していた。
聞き取り調査を装うケースも
調査票を提出しなかった世帯については、調査員が近隣住民などに「聞き取り調査」を行って調査票を作成することができる。捏造された調査票には、この聞き取り調査を装っていたものもあった。
水増しの理由について、藤井裕久市長は、住民票をまとめた台帳である住民基本台帳の人口と、現地訪問などで把握する国勢調査の人口との差を埋めようとしたためとの報告を受けたとしている。
総務省の見解と今後の影響
同省によると、国勢調査業務で、自治体が住民基本台帳を閲覧しながら、調査票に性別などを補記することは認められている。しかし、同省は、市職員が捏造した調査票の大半は、住民基本台帳とつきあわせていなかったとみている。