家族を自殺で亡くした遺族らでつくる「分かち合いの会・ひかり」(大阪府池田市)が、故人への思いをつづった手記を冊子にまとめ、府内外の保健所や大学の図書館に寄贈した。冊子を作るのは2回目で、今回は手記を朗読した動画も公開している。同会は「より多くの自死遺族と悲しみを分かち合い、希望を見いだしたい」としている。
2018年結成、月1回の会合
同会は、代表の植村ヨシ子さん(82)が2011年に長女(当時21歳)を亡くしたことから、18年5月に結成した。「同じ体験をした人の話が聞きたい」「自分の気持ちを聞いてほしい」「死に直面し、どうしたらいいのか分からない」などの思いを抱えた遺族が集い、語り合うことで気持ちを「共有・共感できる居場所づくり」を目指している。
池田、豊中両市で月に1回程度、会合を開いており、活動の成果として昨年初めて遺族や友人の手記をまとめた冊子を作った。
9人の手記、率直な心境
第2弾として今年6月に完成した冊子(B5判カラー11ページ)は、9人の手記を掲載。弟を亡くした遺族は「何かできたのではないかという悔しさは今も消えず、さびしさに押しつぶされそうな日々を重ねてきた」と率直に心境をつづった。弟の仲間と交流を続けていることにふれ、「これからの人生も弟と共に歩み、生きていきたい」と誓っている。
また、夫を亡くした妻は「あなたが残した子供たちは、大学受験と高校受験に向かって毎日、毎日努力して生きています。できることなら2人を見守ってください」と語りかけている。
AI音声で朗読動画を制作
今回、高齢になった遺族から「文字が読みづらくなった」、「遺族の思いを文字で読むのが心理的につらい」といった意見が寄せられたため、会の広報活動を支援している広告業、尾関栄二さん(63)が、AI(人工知能)の音声が手記を朗読する動画を制作した。
朗読の音声は、手記を書いた遺族らの年齢や性別に合わせて変えており、遺族ら本人が語りかけているような印象になるように工夫した。動画は同会のサイトで公開しており、冊子の裏面に動画につながるQRコードを記載した。
冊子は約100部を作成し、府内外の保健所や大学の図書館など約20か所に閲覧用として贈った。植村さんは「手記を読むのがつらいと感じる方も、朗読を聞くことで同じ悩みを分かち合える遺族がいることを知ってもらい、少しでも苦悩を和らげてほしい」と呼びかけている。



