800年続く白石踊、夕暮れの砂浜で幻想的に 岡山・笠岡諸島
800年続く白石踊、夕暮れの砂浜で幻想的に 岡山

岡山県笠岡市の笠岡諸島・白石島に伝わる「白石踊」。4年前にユネスコの無形文化遺産に登録され、他に類を見ない幻想的な盆踊りとして知られる。何が人々を魅了するのか。5月に岡山に赴任するまでその存在すら知らなかった記者(23)は7月中旬、実際に体験できるツアーに参加した。

島の歴史と自然を体感するツアー

笠岡市の伏越港からフェリーで約40分。周囲約10キロの白石島は、笠岡諸島で2番目に大きい。国の名勝に指定されている風光明媚な島で、毎年8月13~16日の夜に開催されるのが白石踊だ。

源氏と平家が戦った水島合戦(1183年)の戦死者を弔うために始まったと伝わり、1976年に国重要無形民俗文化財に指定された。2022年には、地域の歴史や風土を映す民俗芸能「風流踊」の一つとして、無形文化遺産になった。

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夕暮れの砂浜で繰り広げられる優雅な舞

ツアーは白石島の歴史と自然に触れてもらおうと、1999年から年1回実施され、現在は笠岡市観光協会が主催。今年は県内外から61人が参加した。夕暮れの砂浜に、太鼓とやぐらが用意され、紋付きや振り袖、法被などをまとった島民が集まった。「ヨーホイ、ヨーイヤナー」。子どもからお年寄りまで、「口説き」と呼ばれる音頭に合わせ優美に踊る。豪快な「男踊」、つややかな「娘踊」、笠を回す「笠踊」など13種類から踊りを選び、自由に輪に加わっていくのが特徴だ。

記者もいつしか輪に引き込まれ、見よう見まねで基本の踊りである「ブラブラ踊」を踊った。ほかの参加者も次々と輪に加わり、そして最後は静かに鎮魂の祈りをささげる。夕日に輝く海に溶け込んでいくような光景に息をのんだ。

母親に連れられ参加した津山市の中学3年生(15)は「踊りが得意でない自分を快く招き入れてくれたことがうれしかった。生き生きと踊っている島民の姿に誇りを感じた」と語った。

若者発信、継承に一助

漁業などで栄え、戦後間もない頃には2400人を超えたという島民も、最近では300人ほどに減少。担い手の高齢化や人手不足が課題になっている。

全島民が加入し、継承に取り組む「白石踊会」は、踊りを島外にも伝えるため、2017年に本土に笠岡支部を設置。島出身者や希望者を対象に、月2回程度練習会を実施している。同会は踊りの映像をデジタル化して残す取り組みも進めている。

若い力も継承の一助となっている。広島県福山市の渡辺陽さん(25)は高校2年の時、学校の探究活動の関連で島のお盆行事に参加し、白石踊に魅せられた。「自分ができることはまず白石踊を広めることだ」と在学中に発信に取り組み、地域課題の解決をテーマに岡山大で開催されたシンポジウムなどで紹介した。

その熱意に共感した他校の生徒らと「白石踊800年の伝統を受け継ぐ会」を発足させ、高校生向けイベントなどで全国の若者に白石踊の魅力を発信してきた。渡辺さんが卒業した後も会は存続し、現在は岡山、広島両県の高校生約40人が、思いを受け継ぐ。

今月21、22日には、三重県で開かれる「全国高校生SBP交流フェア」に参加し、地域課題の解決について考える高校生らに、白石踊の現状や課題などを訴える予定だ。中心メンバーの岡野日向子さん(17)(岡山城東高3年)は「踊りは人と人とをつなぐものだと思う。少しでもその輪を広げていきたい」と意気込む。

白石踊会の天野正理事(81)は「白石踊を知る人は確実に増えたが、昔のように代々受け継ぐことが難しくなってきた。若い世代に期待している」と話した。

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