水戸市に住むネイリストの小松本遥さん(当時31)が昨年末に自宅で殺害された事件で、殺人とストーカー規制法違反の罪に問われた元交際相手の大内拓実被告(29)に対する裁判員裁判の判決が30日、水戸地裁であった。有賀貞博裁判長は拘禁刑20年(求刑拘禁刑21年)を言い渡した。
犯行内容と罪状
被告の起訴内容は、昨年12月31日夕、小松本さんの自宅アパートで、小松本さんの頭などをハンマーで数十回殴ったうえ、首を包丁で突き刺して殺害したというもの。小松本さんの車に、位置情報がわかる「紛失防止タグ」を付けたなどとするストーカー規制法違反の罪にも問われていた。小松本さんは結婚しており、妊娠中だった。
公判での争点
被告は殺人容疑で逮捕された後、「事実無根で何も知りません」と否認したが、公判では一転、起訴内容を認めた。量刑が主な争点となった。
検察側は、小松本さんへの未練から来る不安やいらだちから「何ら落ち度のない被害者を殺害した」と指摘。ぬいぐるみの中に紛失防止タグをしのばせ、小松本さんの自宅を特定するなどの行為について「計画性が高く、被害者を探す方法が執拗(しつよう)」と述べた。
弁護側は、被告がインターネットでストーカーの心理を調べ、精神科病院の受診を試みるなど「ストーカー行為をやめようともがき、衝動的な感情と理性の間で激しく葛藤していた」と主張。過去の同種事件の判例を踏まえ、寛大な判決を求めていた。
被害者参加と法改正の背景
この裁判では、小松本さんの夫が被害者参加制度を使って出廷。代理人弁護士が夫の心情や意見を代読した。
紛失防止タグの悪用によるストーカー行為が相次いでいるのを踏まえ、昨年12月30日には改正ストーカー規制法が施行。紛失防止タグを使って相手の位置情報を無断で取得する行為が禁止されるようになった。