今年の東京ゲームショウでは、異業種からのゲーム業界参入が目立ったが、特に出版社である集英社と講談社が、それぞれ特徴的な戦略でブースを展開し、注目を集めた。
集英社ゲームズと講談社ゲームラボの違い
集英社ゲームズは2022年創業の集英社100%出資の子会社。社名から「集英社のIPを次々とゲーム化していく会社」と誤解されがちだが、実際は異なる。現在手掛ける10タイトルのうち、既存IPの作品は3タイトルのみで、残り7タイトルは完全新規だという。
今回の東京ゲームショウ出展タイトルも、1本は既存IP(呪術廻戦)だったが、もう1本は新規IPの『UN:Me』。不安をテーマにしたアドベンチャーゲームで、日本初の試遊と体験型展示「不安回廊」が出展され、ビジネスデイにもかかわらず60分待ちの盛況だった。
講談社ゲームラボのクリエイター支援
一方、講談社ゲームラボは講談社内のプロジェクトで、クリエイターにフォーカスした枠組み。出版社の方法論をゲーム作りに横展開し、クリエイターのサポートとゲーム業界での雇用創出を目的としている。
「ゲームクリエイターズラボ」では、ゲーム開発を行うクリエイターの応募を受けて作品を審査し、各クリエイターに最大1000万円の支援を行う。2020年9月の発足から2023年時点で累計応募総数は3,000件以上。今回の東京ゲームショウでは、所属クリエイターが制作した24タイトルが展示された。
対照的なアプローチと今後の展望
集英社ゲームズは新規IPの創出を目的としており、漫画からゲーム化する従来のメディアミックスとは逆の流れを生む可能性がある。一方、講談社ゲームラボはクリエイターの「スター」を生み出すことを優先し、クリエイターのIP化を狙いとしている。
また、今回出展のなかった集英社の「ゲームクリエイターズCAMP」は、2021年4月20日にサービスを開始したプラットフォームで、クリエイター同士のコミュニケーションやコンテスト参加、開発スタッフ募集が可能。2025年6月時点で登録者数は9,000人を突破している。
インディーゲームの盛り上がりや生成AIの活用が進む中、個人クリエイターのゲーム開発はますます活発になるだろう。楽曲や漫画と同じように、ゲーム制作が自己表現の手段となった現在、各社のクリエイター支援の取り組みに注目が集まる。