記者の惨事ストレス、背景に「マッチョな組織文化」 筑波大・松井豊名誉教授が指摘
記者の惨事ストレス、背景に「マッチョな組織文化」 松井豊氏指摘

惨事を見聞きした人に表れるストレス反応は「惨事ストレス」と呼ばれる。災害時などに救援にあたる人たちに起こるものと考えられてきたが、報道機関で働く記者たちにも生じることが近年、指摘されている。記者が直面する惨事ストレスとはどんなものか。新聞社やテレビ局の記者らに調査をしてきた、筑波大の松井豊名誉教授(社会心理学)に聞いた。

「災害救援者」という主語を取り外して考える

惨事ストレスはもともと、消防士や自衛隊、警察といった災害救援者が「惨事」に直面した時に生じるストレス反応のことで、いわゆるトラウマ(心の傷)の一部分ととらえられる。だが、災害救援者だけではなく、保育士や医師、ジャーナリストにも起こりうることがわかってきたため、松井名誉教授は「災害救援者という主語を取り外して考えている」と話す。

事件事故や災害を取材する記者たち自身が負うトラウマの存在が近年、知られるようになり、リスクを減らすための取り組みが進んでいる。惨事に遭遇しトラウマを抱えた当事者にどう取材するかも課題だ。取材相手を傷つけず、記者自身も傷つかないためには何が必要なのか。秋の新聞週間(10月15~21日)に考える連載の3回目(全3回)として掲載された。

性暴力や虐待の被害も惨事に

惨事は戦場や殺人事件などの現場だけではない。性暴力や虐待の被害などもありうる。当事者の境遇が記者自身の体験と似ていたり、身近な人を思い出させたりすることも惨事ストレスになりうる。たとえば子どもがいる人は、子どもが犠牲になる事案に特にショックを受けやすい。地方紙などだと、被害者が知り合いだというケースもある。

さらに、悲惨な現場を間接的に見ている人にもストレス反応が起こる。例えば東日本大震災の時、ご遺体が映っている映像にぼかし加工をする編集作業をした人たち、ロシアによるウクライナ侵攻で通信社から送られてきた画像を見た人たちにも同じような反応が出たと聞いたという。

8割以上の記者が衝撃的な取材・報道を経験

松井名誉教授が記者の惨事ストレスに着目した理由について、記事では「もともと消防士の惨事ストレス…」と続き、衝撃的な取材・報道に携わった経験が8割以上に上るという調査結果が紹介されている。この記事は有料記事のため、続きは有料会員向けとなっている。