警察庁の有識者検討会は2日、匿名・流動型犯罪グループ(匿流)のスマートフォンから警察が通信内容を入手する新たな手法について、提言骨子を公表した。犯罪被害を防止するため、遠隔による情報取得・解析の制度を早急に導入すべきだと指摘。憲法の「通信の秘密」などとの整合性に鑑み、重大な犯罪の防止につなげるための情報に限定し、裁判官が発付する許可状(令状)を得て実施すべきだとした。
提言の背景と狙い
今回の検討は、匿流による特殊詐欺や強盗などの被害の深刻化を受けた対応だ。実行役を摘発しても、別の実行役が次の「標的」を定めるなどして犯行が継続される実態がある。
提言骨子では、実行役の募集や犯行の指示には秘匿性の高い通信アプリが使われ、実行役を摘発しても指示役や次の標的を速やかに特定するのが困難な上、アプリでのやりとりは暗号化され、通信事業者の協力を得ても通信内容の解明は難しいと指摘。悲惨な被害者を生まないための対策が急務だとして、アプリの通信内容を迅速に把握する手法を「遠隔解析」と定め、早急の導入を促した。
対象と手続きの限定
スマホの通信内容を遠隔で取得することは技術的には可能だ。骨子では、通信内容は通信の秘密に関わり、プライバシーの保護が及ぶが、適正な手続きの下で必要な限度であれば憲法上認められると説明した。
そのうえで、遠隔解析の目的は切迫する重大犯罪の被害の防止で、数人の共謀による犯罪を対象とし、犯人同士や犯人から被害者への連絡に使われた端末に限定するとした。警察庁によると、遠隔解析の対象にする端末は、被害者からの通報や組織メンバーの供述、過去の捜査情報などから特定することを想定しているという。
提言骨子は、「犯罪と無関係の人の端末にも遠隔解析が実施されるのではないかとの懸念は確実に払拭するべきだ」と指摘し、重大犯罪の犯人が使うと認められるスマホに限定すべきだとした。
今後の見通し
有識者検討会は近く提言をまとめる。それをふまえ警察庁は、具体的な手続きなどを定めた警察官職務執行法の改正案をまとめ、制度の早期導入をめざす。



