辺野古転覆事故から半年、両親が思い語る「死を無駄にしたくない」
辺野古転覆事故半年、両親「死を無駄にしたくない」

沖縄県名護市辺野古沖で3月、小型船転覆事故で亡くなった同志社国際高(京都府京田辺市)2年の武石知華(ともか)さん(17)の両親が読売新聞の取材に応じ、「一生懸命に生きていた子が、大人のいいかげんさで亡くなった。死を無駄にしたくない」と語り、事故の責任明確化や再発防止を訴えていくとの思いを打ち明けた。

「知華のいない生活に慣れていくことに罪悪感がある」

母(49)は11日、自宅で声を震わせながら「知華のいない生活に慣れていくことに罪悪感がある。知華のいた生活に戻りたい」と話した。両親は事故から約2週間後の3月28日、投稿サイト「note(ノート)」で思いを発信し始めた。事故直後に「船に乗って米軍基地建設への抗議活動をしていた」という誤情報がSNSで拡散し、知華さんや他の生徒への誹謗中傷が相次いだことに心を痛めた。「こんなの許されない。本当の姿を伝えないといけない」という思いからだった。

娘は美ら海水族館に行きたくて研修旅行で辺野古のコースを選んだこと、おしゃれが大好きだったこと、宇宙関係の仕事を夢見ていたこと――。怒りや悲しみをこらえて書いた文章は共感を呼んだ。

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学校側の対応に不信感

知華さんは学校が大好きで、毎日の出来事を帰宅後に楽しそうに話す姿に、両親は「いい学校に入れてよかったな」と安心していた。しかし、事故後の高校側の対応が不信感を募らせることにつながった。事故発生から約2時間後の3月16日正午頃、母は知華さんと一緒にいた友人の保護者からの電話で事故を知った。高校に駆けつけると、当時の校長から「意識不明の状態で救急搬送され、死亡が確認された」と伝えられたのが、高校からの最初の報告だった。

その後の説明会や個別のやりとりで学校側は、捜査や調査が進んでいることを理由に「言えることがない」と繰り返した。質問に対し、回答を作って渡すということもなく、父(49)は「最初から、保身と逃げの形が続いている」と感じた。

刑事告訴と再発防止への取り組み

両親は7月、引率教員ら高校の4人を含む11人を業務上過失致死傷容疑などで刑事告訴し、中城海上保安部に受理された。母は「間違えたことをしても、誰も罪に問われなければ、未来のためにならない。警鐘を鳴らす意味もあった」と話した。同月には「辺野古転覆事件の全容解明と再発防止を求める会」を設立した。同様の悲劇を繰り返さないため責任の所在を明らかにし、課外活動における安全基準の導入などを目指して調査や関係者への働きかけを行う。活動資金として、4000件以上の寄付が寄せられているという。

8月に迎えた初盆では、母は知華さんの好物を買って冷蔵庫をいっぱいにし、生ハムやブルーベリー、ブドウなどを用意し、大好きだったおでんも作った。「でも、食材は減らなくて自分で食べなくちゃいけない。へこみますね」と話す。知華さんが使っていた対話アプリ「ワッツアップ」のアカウントには「ママは寂しくて仕方ありません。会いたい」などと毎日メッセージを送り続けている。

父は「知華は、社会の教訓になるために生きていたわけではなく、悔しい。でも死を無駄にはしたくない。複雑です」と語った。母は「一生懸命に生きてきた17年間が世の中をより良い方向に変える力になるなら、親として知華を生かし続けることができる」と信じている。両親は11日、知華さんの墓に参り、線香を上げた。

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