1品100円、子ども無料、夜は大人も無料…大阪の総菜店「ごはん処おかえり」を7年支える58歳店主の壮絶半生
1品100円子ども無料の総菜店を7年支える58歳店主の壮絶半生

大阪府豊中市の路地裏で、1品100円の総菜を並べ、20歳以下の子どもにはいつでも無料、18時半以降は大人にも無料で食事を提供する小さな店「ごはん処おかえり」が、開店から7年を迎えた。家賃や光熱費など毎月約35万円の支出があるにもかかわらず、店主の上野敏子さん(58)は無給で、行政の助成金も一切申請せずに運営を続けている。なぜ成り立たないはずの“無料食堂”が7年も続くのか。その背景には、上野さんの壮絶な半生があった。

助成金なし、店主無給でなぜ続くのか

「ごはん処おかえり」の運営は、いつも綱渡りだ。上野さんは「目の前のことが大変なのに先のことなんて、SDGsなんて考えられないですよ。明日運営できるように動く。それしかないです」と語る。企業のバッジやレポートで見慣れた「SDGs」という言葉を、上野さんは一蹴する。

上野さんの朝は早く、5時には厨房に立つ。並ぶのは、コロッケ、オムレツ、酢の物など、常時15種類にも及ぶ総菜だ。これらがすべて1品100円、18時半からは無料で提供されている。このような利益度外視のサービスをしていれば、当然赤字になる。家賃や光熱費などで毎月35万円ほどが確実に出ていくが、上野さん自身は無給であり、自らの生活費は次男の障害年金などで賄っている。

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行政の助成金は「支援の対象になる層を区切るのは嫌だし、対応のスピードが落ちる。活動の縛りができるから」と一切申請しない。株式会社でもNPOでもなく「任意団体」として運営し、頼りの綱は寄付決済サイト「コングラント」を通じて全国の名も知らぬ支援者から寄せられる寄付金である。2カ月に1回、約50万円前後が振り込まれ、「それでなんとか赤字を免れている」と上野さんは語る。

人を巻き込む力は“どん底”から生まれた

上野さんの半生は、決して平坦ではなかった。母の一言で心が折れ、一人で始めたホームレス支援。最初は“次男のため”だったが、やがて見えづらい困窮への憤りが原動力となった。

「無料弁当がつなぐ善意の循環」が、この店を支えている。日本の貧困の知られざる現実に直面し、「とにかく食事と安心を届けたい」という思いで、上野さんは今日も厨房に立つ。

上野さんは言う。「大木のてっぺんからじゃ、地面は見えない」。現場に立つ者だけが見える現実がある。その視点が、この小さな総菜店を7年間、そしてこれからも支えていくのだろう。

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