東京都練馬区の住宅街にある見通しの悪い交差点で2023年12月、男性(45)の乗用車が徐行せずに交差点に進入した際、別の車が一時停止を無視して左から突っ込んできた。衝突されたはずみで男性の車はそばを走っていた自転車にぶつかり、親子に重傷を負わせた。
男性は刑事裁判にかけられた。別の車の交通違反がきっかけで起きた事故でも、有罪とされるのか。裁判所の判断が注目されている。
事故の経緯と検察の起訴
事故があったのは師走の平日の午前9時前。被告の男性は当時1歳の息子を保育園に送るため、いつものように乗用車を走らせていた。住宅街を時速30~35キロで直進し、信号のない交差点にさしかかった。交差する道路は左からの一方通行で、一時停止の標識と停止線があった。
交差点に進入した直後、左から一時停止を無視した車が減速せずに突っ込んできた。衝突された男性の車は右前方に強く押し出され、あわててブレーキを踏んで車を降りると、男児(当時5歳)と母親(当時44歳)が倒れていた。自転車に乗った2人をひいてしまったと気付いた。
男児は頭の骨、母親は足の骨が折れるなどの重傷だった。母親は事故の後遺症で、松葉杖なしでは歩けなくなった。
見通しの悪い交差点と徐行義務
事故が起きた交差点の角には高さ約3メートルの植え込みがあった。男性からみて左側にあり、左から来る車の進行が見えづらくなっていた。道路交通法は、こうした見通しの悪い交差点では「徐行義務」があると定めている。
捜査の結果、男性は徐行せずに交差点に入っていた。左から男性の車に突っ込んできた運転手も一時停止をしなかった。これらのミスが重なったことで事故が起きたと検察はとらえ、2人を自動車運転死傷処罰法違反(過失運転致傷)の罪で起訴した。
後の裁判で、運転手は禁錮3年執行猶予5年の有罪判決を受けた。一方、男性は今年5月の初公判で「私は無罪だと思います」と述べた。裁判では、徐行とは「時速4キロ程度」なのかが争点となっている。



